放浪していた子猫
キウイちゃん(享年8歳1ヶ月・メス)は、2014年7月、車道を横切って歩いていた。当時、生後1ヶ月くらいの子猫だった。「このままではひかれてしまう」。たまたま通りかかった京都府在住のYさんは、慌てて車を停めて子猫を探した。
「すぐ道路脇にいるところを見つけました。兄弟や母猫は見当たりませんでした。まだ小さな子猫で、持っていたお弁当袋に入れて保護することができホッとしました。そのまま家に連れて帰ったのですが、随分お腹が空いていたようで、知らない家に連れて来られたのにガツガツとキャットフードを食べていました」
キウイちゃんを病院に連れて行くと、体重は450g、幸い病気にもかかっていなかった。すぐに先住猫の茶太郎くんに懐き、家に馴染んでいったという。
突然、我が子を襲ったリンパ腫
すくすく成長したキウイちゃん。人間のことは大好きだが、爪切りは拒否、抱っこもさせてくれず、膝乗りもしなかった。それでも、気がつくといつもそばにいる子だったという。
「とてもユニークな子でした。でも、8歳になったばかりの頃、突然食欲がなくなりました」
Yさんは「またいつもの口内炎かな?」と思っていた。しかし、あまりにも体調が悪そうなので病院に連れて行くとリンパ腫と診断された。
「それからどんどんリンパ腫はキウイの体をむしばみ、9日後、帰らぬ猫になりました。まさか8歳で猫を亡くすなんて…お別れはもっと先の話だと思っていたので信じられない気持ちでいっぱいでした」
キウイちゃんが旅立った後、Yさんの中でどんどんキーちゃんの存在が大きくなっていった。
「毎日会いたいと泣き、病に気づけなかった自分に腹が立って泣き、かわいそうなことしたなと泣き、気配を感じては泣き…。それでも、家には保護した猫がいたので、その子たちのお世話もしました」
キーちゃんと過ごした日々に感謝しているというYさん。
「猫が亡くなった後どうするかではなく、猫たちとの何気ない日常に感謝して毎日を過ごすことが大切で貴重なことなんだとキーちゃんが教えてくれました」と話す。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)