京都から30分「穴場&ずらし」の散策路! 展望低山とパワースポット「山背古道」レポ

JR城陽駅の前にある散策マップ(撮影:山本佐和)

京都市と奈良市の中間に位置する京都府城陽市。京都市から五里、奈良市から五里の場所にあることから古くから「五里五里(ごりごり)の里」と呼ばれ、いちじくや梅の産地としても知られている場所だ。

今回紹介するのは、地域の人に親しまれている京都の穴場ハイキングスポット「鴻ノ巣山(こうのすやま)」。ローカルながらも「京都の自然200選」に選ばれたアカマツとシイ林、国の重要文化財に指定されている「水度神社(みとじんじゃ)」といった見所の多いハイキングコースである。

■JR城陽駅に到着、「水度神社」を参拝

出発地点は、京都駅から約30分で到着するJR城陽駅。駅を出て右手にある駅前の商店街を抜けると、山の方へ真っ直ぐ延びる松並木が現れる。これが「水度神社(みとじんじゃ)」の表参道である。

駅前のマップにも記載されているが、この表参道は「山背古道(やましろこどう)」と呼ばれ、城陽市〜木津川市を結ぶ散策路になっており、街の案内所や事務局で入手できる「山背古道探検地図」や「地図アプリ」にも記載されている。

今回筆者が歩いた「水度神社」経由「鴻ノ巣山」ハイクの散策路以外にも、「万灯呂山(まんとろやま)」や国内最大級の前方後円墳など、「山背古道」沿いには見どころが満載。マップを最大限に活用したさまざまなプランを立てることができる。

また、散策路は「歴史のみち」「花のみち」と、特徴にちなんで名前がつけられていて、「水度神社」の参道は「緑のみち」とされている。

名前の通り、参道にある遊歩道は緑に囲まれており、すぐそばに住宅が建ち並ぶにもかかわらず静かな森の中を歩いているような気分になる。鳥のさえずりに癒されながら進んでいく。

松並木を15分ほど歩くと、生い茂った木々の中に鳥居が見えてきた。地域の人々に愛されている神社なのだろう、地元の住民と思われる人たちが通りすがりに鳥居の前で手を合わせていた。

鳥居をくぐり、松の古木に囲まれた石段を上る。

石段を上りきると、拝殿と本殿のある境内に。

「水度神社」の創祀は平安時代とされているが、奈良時代の「山城国風土記(やましろこくふうどき)」に「水度神社」と思われる記述があることから、奈良時代には存在していたとも言われるほど古い歴史を持っているそうだ。水防の神や農耕の守護神として崇められており、本殿は国の重要文化財に指定されている。

お宮参りやウォーキングに来ている参拝客もたまに見られたが、観光地と違って人は少ない。とても落ち着いた雰囲気の境内をゆったりと参拝することができた。

■「鴻ノ巣山」散策道を抜けて山頂へ

「水度神社」の参拝を終えて「鴻ノ巣山」へと向かう。境内の奥に「鴻ノ巣山散策道」の案内があるので、案内に沿って山道を進んでいく。

「鴻ノ巣山」は標高118mという小さな山で、300種類以上ものキノコが自生しているというアカマツなどの雑木林が広がっている。さほど険しくない緩やかな山道なので、ハイキング初心者でも楽に登ることができるだろう。

ところどころで見かける山火事防止のポスターや看板は、どうやら地域の子どもたちがデザインしたもののようだ。かわいいデザインを見つけながら歩くのもまた楽しい。

約20分登ると、展望台に到着だ。筆者が訪れた日はあいにくの天気で霧がかかっていたが、晴れていれば城陽市内を見渡せる。展望台の近くには「さくら見台」という花見を楽しめる場所もあった。

■鴻ノ巣山運動公園を抜けて帰路に

そのまま道なりに下山すると、「鴻ノ巣山運動公園」に到着。アスレチックやスライダーなどの遊具やカフェスペース、キャンプやバーベキューを楽しめる「LOGOS LAND」が隣接しており、週末は多くの家族連れで賑わう。大人はもちろん、子ども連れでハイキングを楽しむのにももってこいのスポットだ。

「鴻ノ巣山運動公園」を抜けて、JR長池駅へと帰路に着く。長池駅までは大きな道路が続いており、お店は少ないのだが、駅の近くにおしゃれなパン屋を発見。揚げたてアツアツの「熟成カレーパン」は絶品だった。有名な観光地や繁華街ではないからこそ、こういった食べ物やお店との出会いは格別に嬉しく感じる。

ぜひ混雑知らずの京都の穴場・城陽で、緑に癒されるハイキングに出かけてみてはいかがだろうか。

【散策コース】
城陽駅から長池駅へ(コースタイム約1時間50分)
城陽駅 → 15分 → 水度神社 → 20分 → 鴻ノ巣山展望台 → 15分 → 鴻ノ巣山運動公園 → 30分 → 長池駅(休憩30分)

※この記事の情報は2024年3月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。

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