なぜ「危険地帯」に? 佐々の県道志方江迎線 衝突事故が度々発生…県警「減速を」 長崎 

昨年、車同士の正面衝突事故が発生した現場。県北を結ぶ志方江迎線では絶え間なく車が走っている=北松佐々町大茂免 志方江迎線の事故マップ

 西九州自動車道佐々インターチェンジ(IC)と長崎県佐世保市江迎町を結ぶ県道志方江迎線。この県道上の北松佐々町大茂免では車同士が衝突し火災が発生するなど、度々衝突事故が起き、近隣住民の間で「危険地帯」と呼ばれている。なぜ事故が起きるのか、原因を探った。
 4月10日昼、同ICを降りて同線を江迎方面に向かって車を走らせた。長い上り坂を終えると「この先事故多発 スピード落せ」の標識が目に入った。そこからはクネクネとした下りカーブが延々と続いた。事故があったのはこの下りの途中だ。慣れない道で手には汗がにじんでいたが、前後の車にあわせて走っていると速度は60キロになっていた。上り坂から事故現場付近までは信号や横断歩道がなく、ついついスピードを出してしまうのかも知れない。
 事故現場一帯の道路脇には自動車部品の破片が散らばり、事故が多発していることを物語っていた。近くの農業、山口義美さん(59)は「雨の時に急ブレーキをかけると滑る。制限速度は50キロだけど、みんな60キロ以上出しているのでは」と心配そうに話した。
 道路を管理する県北振興局道路維持第二課によると、同線には急な部分で最大10%の勾配がある。24時間交通量は2010年は約5400台だったが、11年に同ICが供用を開始し急増、15年は約9400台に上った。事故対策として12年に減速ドットラインを敷き、その後も警戒標識を設置するなどしてきた。
 炎上事故は昨年12月12日午後9時40分ごろ発生。佐々町大茂免の同線を江迎町方面に向かっていた普通貨物車が、下りの左カーブを曲がりきれずに対向車に衝突した。双方に同乗者はなく、両運転手とも重傷には至らなかったが衝突によって2台とも全焼した。
 江迎署や県警交通規制課によると、19年から23年までに同線では人身事故4件が発生。うち3件は下りカーブを曲がりきれずに正面衝突。いずれも第1当事者は貨物車で路面状態は「湿潤」だった。「貨物車は重心の位置が高く、カーブの遠心力の影響を受けやすい。下り勾配は平たんな道路より制動距離が長くなる」と同課は分析している。
 同線では昨年、物損事故も10件発生。このうち9件が貨物車で、速度の出し過ぎが原因なのは7件だった。同署の木庭雅之交通課長は「カーブが連続するのでいつもより速度を落として、特に夜間や雨の日は気を付けて運転してほしい」と注意を呼びかけている。同署は事故防止のため同線でのスピード違反の取り締まりを強化する考えだ。

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