ガンプラファンに新たな動き 敢えて組み立て済みを購入し、改造する楽しみ方が広がる

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転売屋のせいで、欲しいものが売り場に置かれていないという迷惑な状況にもいい加減慣れてしまった。転売を生業にしている卑しい連中は浅はかなのできっとこれからも、世の中に迷惑をかけることをやめはしないのだろう。

この転売屋に絶賛ターゲットにされているのがガンプラである。昔はプラモデルなんて簡単に手に入るものだったが、コロナ禍でガンプラブームになって以降、店頭から消えてしまった。

もはや発売日に朝から並ばないと入手するのも難しくなっており、そんなことは普通の勤め人にはできない。転じて、ニートに毛が生えた程度で、どうせ収入申告もしてないような転売屋がのうのうと新発売のガンプラをせしめ、作れもしないのにストックして割り増し価格で販売するわけだ。

さて、そんな状況下でもガンプラファンはいる。人によっては転売価格で買う人もいるだろう。しかし最近では、別の方法でガンプラを手に入れるファンも目立つようになってきた。それが完成品を入手するという、自分で一から組み立てる楽しみをガン無視したような購入方法だ。しかし、これがなかなか趣深いのだ。(文:松本ミゾレ)

市場に製品がなければ、組み立て済みを購入して改造するのだ!

コロナ禍以降、お店で新しいキットを購入できなくなったガンプラファンは、最初は自分が買いだめしていたキットを組むなどして耐えていた。しかし1年経っても2年経っても、品薄のまま。とうとう手持ちのキットも枯渇してきたというファンは、安価で投げ売りされている組み立て済みの完成品に目を向けた。

組み終わったガンプラは、ホビーオフなどで10年以上前から販売されていた。組み立てた人のスキルにもよるが、素組みで隙間埋めなどもしていないものはほとんど捨て値で売られていたと記憶する。

ある程度プラモを作るスキルのある人ならこういったもので十分遊ぶことができる。パーツ取り、あるいは塗装の練習台、または改造してより完成度の高い作品を作るための素材として活用すればいいのだ。SNSには、素組み状態のガンプラをどこからか入手して改造を施しているユーザーを結構見かける。

一方、中古玩具を扱うお店では、こうした流れを受けて組み立て済みプラモの買取価格をやや高く設定するようになった。販売する際には今までよりも高い額をつけるわけだが、それでも転売価格よりかなり安い。

そして、最近はヤフオクなどのネットオークションサイトでも、素組みしただけの完成品ガンプラに、結構な入札があるのだ。

パーツ欠品でも需要はある

もちろん、ある程度スキルのある人でないと、組み立て済みを購入しても思うような作品にすることは難しい。下手に塗装されていると、筆ムラなども生じていて、それを落とすことから対処しなければならない。自分で最初から組み立てる以上の苦労も生じる可能性はある。ただ、コアなファンならそれも楽しめるようだ。

ヤフオクなどで見る完成品の出品物は、よく見るとサーベルとか手首が欠品になっているケースもある。しかしこれはスペアでどうにかなるし、ガンプラをずっと作ってきた人ならそのスペアも腐るほどある。なので致命的なマイナス(たとえば顔がないとか)がない限りは、よほどボロボロの完成品でもない限りは入札対象になる様子だ。

ここまでしないとガンプラが手に入らないぐらいに供給がまだ追い付いてないってことなんだろうけど、とりあえず何かものがあればどうにか改造できますよってモデラーは相当いるし、これを読んでいる人の中にだって「あ、俺もそうだ」という人はいるはず。

市場にモノがない以上はどんなに欲しても手に入らない。腕におぼえのあるモデラーは、しばらくはヤフオクとかメルカリの、安く出品されている組み立て済みキットを狙ってみるのもいいんじゃないだろうか。

たとえばハンブラビを3つ所有したいって人もいるだろうけど、自分で3つ組むのは骨。そういうときにまず1つは自分で作って、あと2つは完成品を落札して入手し、3機それぞれに統一感を持たせた改修と塗装をするとかだと、手間もかかるお金も少なく済みそうだよね。

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