ガザ地区で国連のインド人職員が死亡 国際スタッフとしては初

国連のインド政府代表部は14日、パレスチナ自治区ガザ地区南部で殺害された職員について、国連安全保安局で働いていたインド人のワイブハヴ・ケール大佐だと明らかにした。

国連は13日、パレスチナ自治区ガザ地区南部の病院に向かっていた職員1人が殺され、もう1人が負傷したと発表した。

国連によると、職員らは国連の車両でラファ近郊のヨーロピアン病院に向かっている最中に攻撃された。攻撃の責任が誰にあるのかは述べなかった。

ガザ地区で国連の国際職員が殺されたのは、現在の紛争が始まってから初めてだという。

イスラエル軍は初期調査の結果として、この車両は活発な戦闘地域で攻撃を受けたと説明。同軍は車両の移動ルートは知らされていなかったとした。

しかし国連は、この車両には明確に印がつけられており、イスラエル当局には事前にその移動計画を連絡していたと述べた。

国連のローランド・ゴメス報道官は、国連はガザ地区での車両の移動を全て、イスラエル当局に通達していると話した。

「それが標準の運営手続きであり、昨日の朝にも同じことが行われた」

ソーシャルメディアに投稿された映像には、複数の銃痕のある、国連の印が付いた車がヨーロピアン病院の前に停まっている様子が映っている。BBCは、この映像を検証し本物だと確認している。

イスラエル軍は、14日に国連安全保安局から、職員2人がラファ地域で負傷したとの報告を受けたことを認めている。現在、この件を調査中だと述べた。

国連のインド政府代表部は、ケール大佐の「家族に哀悼の意を示す」と発表。インドのメディアによると、同大佐はかつてインド軍に所属していたという。

アントニオ・グテーレス国連事務総長の報道官は、事務総長がケール大佐の死を知り「深く悲しんでいる」と述べ、家族に哀悼の意を表した。

また、「事務総長は、国連職員に対するすべての攻撃を非難し、完全な調査を求める」と述べた。

グテーレス氏は別の声明で、これまでに190人以上の国連職員がガザ地区で殺されていると指摘している。

ガザで国連の国際職員で殺されたのはケール大佐が初だが、4月には、慈善団体「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」の国際職員6人とパレスチナ人職員1人が、イスラエル軍の空爆で死亡している。

この件は国際的な反発を呼び、イスラエル軍は「重大な事故」だったとして2人の幹部を解任した。

昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲では、イスラエル側で約1200人が殺害され、252人が人質に取られた。イスラエルは直後にハマス壊滅を掲げてガザで軍事作戦を開始した。

ハマス運営のガザ保健省は、イスラエルの報復攻撃による同地区での死者は3万5170人に上るとしている。

(英語記事 Israel-Gaza war: UN says Indian staff member killed in Gaza

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