玖珠町「学びの多様化学校」開校から1カ月 登校率8割超、皆勤の子も【大分県】

児童がドラムセットをたたくのに合わせて演奏する「ジャズのまち玖珠実行委員会」メンバーら=玖珠町森の学びの多様化学校

 【玖珠】玖珠町立「学びの多様化学校」(不登校特例校)が、開校から1カ月を迎えた。さまざまな事情で学校に通えない不登校の児童・生徒を受け入れる小中一貫校で、義務制では九州初の特例校。登校率は8割を超えて皆勤の子どもも数人おり、順調な滑り出しとなっている。

 初年度は小学生4人、中学生12人の計16人で、4月16日に始業。小学生は川遊びをきっかけに、魚や水質について調べる独自の学習を始めた。学校を盛り上げるイベントのアイデアをみんなで出し合い、児童・生徒の希望者が実現に向けて行動するプロジェクトチームも立ち上げた。夏祭りやミニ運動会などを計画している。

 町内外の愛好家でつくる「ジャズのまち玖珠実行委員会」(伊東辰夫委員長)は今月13日、メンバー提供のドラムセットを同校に寄贈した。子どもたちは順番にスティックを握り、リズムを刻んだ。伊東委員長(70)は「すぐに興味を示す子もいてうれしい。たたいて遊んで、楽しみながら音楽を学んでほしい」。

 地域の支援を受けながらの円滑なスタートにも、小原猛校長は「無理や我慢をしている子がいないか、何か変化はないか、温かく注意深く見守っていく」と気を緩めない。ほとんど登校していない子どももおり、アプローチやケアを継続していくという。

 「子どもたちが来てくれるか」という当初の不安は薄らいだものの、新たな課題も見えてきた。主に中学部を担当する藤永ひとみ教諭(60)は「3年生のほとんどが高校進学を考えている。毎日の登校に慣れ、学校を楽しんでもらうと同時に、進路の達成に向けてどう寄り添い、サポートしていくかも考えていく必要がある」と話した。

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