今年こそ登りたい「富士山」 チャレンジに最適「時期&計画」とは? 体験レポと「新ルール」

1月、山梨県にある三ツ峠山からみた早朝の富士山(撮影:兎山 花)

日本一の山「富士山」 登山者に限らず、一生に一度は登ってみたいという人も多い。4月下旬~5月ごろにかけて山小屋の予約がスタートするため、そろそろ富士山登山の計画を考える時期だ。

しかし、いったい「いつ」登ったらよいのか? と悩んでいる人もいるのではないだろうか。

この記事では筆者や富士山登山経験のある友人から聞いた体験をもとに、いつ登るのがベストなのかを紹介する。

■富士山の開山期間中、いつ計画するのがベスト?

「富士山」は、山梨県と静岡県にまたがる標高3,776mの日本最高峰の山。富士山には開山期間があり、期間中登山が許可される。

2024年、富士山の開山期間は以下の通り。

・山梨県側「吉田ルート」:2024年7月1日(月)〜 9月10日(火) ・静岡県側「富士宮、御殿場、須走ルート」:2024年7月10日(水)〜 9月10日(火)

開山期間のうち筆者が登山におすすめする時期は、7月中旬~8月中旬。

開山直後の7月はじめは、まだ梅雨明けしていない可能性がある。一方、8月下旬になると台風シーズンに突入し、台風発生のリスクが高まり登山を予定していても、中止せざるを得ない状況になるかもしれない。従って、上記期間を避けた7月中旬~8月中旬が登山におすすめの時期だ。

■山頂からのご来光にこだわらない、快適に登るための時間帯

はじめての富士山、できれば山頂からご来光を見たいと思う人も多いだろう。しかし、夜明け前の山頂付近は大混雑する。

筆者の友人は、山頂でのご来光目当てに吉田ルートで登山を開始したが、山頂間近で登山者の大渋滞に巻き込まれ思うように進まなくなった。夏といえども山頂の気温が一桁台で動けないのは非常に寒い。結局、同伴者が疲れてしまい、登頂をあきらめて下山した。

友人は翌年に同じルートで再挑戦。山頂からのご来光にこだわらず午後に登頂したら、山頂も空いており、明け方よりも気温が暖かくて快適だったそうだ。

富士山に登るのであれば山頂が空いていて、日も明るい時間帯がおすすめである。

どうしても富士山からご来光を見たいのであれば、山頂にこだわらずご来光が見える山小屋に泊まるのも一つの手だ。

■雨予報なら無理せずあきらめよう

富士登山を計画したものの雨予報になることもある。はじめて富士山に登るのであれば、晴れの日に登るのがおすすめだ。

富士山は、樹林帯がなく雨風を遮るものがない。濡れて体が風にさらされると体温が下がり、低体温症のリスクも生じる。

筆者も雨で富士山登頂を断念した経験がある。初日は天気もよく、御殿場ルート七合目五勺にある山小屋「砂走館(すなばしりかん)」に正午に到着。その日は山小屋でのんびりと過ごして、早めに就寝した。

深夜0時に起きると、雨が降っていた。筆者らは天候が回復するのを待って登ることにしたが、筆者の隣の布団にいた女性は、雨の中レインウェアを着て山頂に向かった。

雨風がさらに強くなったため、筆者たちは登頂をあきらめて眠りについた。明け方、人の声で目を覚ますと、隣の女性がずぶ濡れ状態で戻ってきていた。登頂できたのかと聞くと、雨風がひどくて七合目九勺にある山小屋までしか進めなかったとのこと。それ以上登るのは無理だと判断し、小屋に戻ってきたそうだ。行かなければよかったと、寒さに震えながら彼女は後悔していた。

天候が悪い中、無理して登っても景色も見られないし辛いだけだ。無理せず中止しよう。

■2024年から「登下山道の使用料」や「ゲート封鎖」など新たなルールが設けられる

2024年から、富士山登山に新たにルールが設けられることとなった。

●登下山道の使用料について

【山梨県側の吉田ルート】
「登下山道の使用料」1人、1回につき2000円が課せられる。任意の寄付金「富士山保全協力金」1000円と合わせると1人あたり最大3000円の料金が発生する。
【静岡県側の須走、御殿場、富士宮の3ルート】
「登下山道の使用料」はなく、「富士山保全協力金」1000円のみ。

●通行規制について

【山梨県側の吉田ルート】
五合目の登山道にゲートが設置され、「午後4時から午前3時の間」と「1日の登山者が4000人を超える場合」ゲートが閉鎖される。ただし、山小屋に予約がある人は閉鎖時間内でも通行可能。
【静岡県側の須走、御殿場、富士宮の3ルート】
午後4時以降に登山開始する人に対して、山小屋の予約確認が実施される。また、登山前にWebによる登山計画の登録を推奨している。

■富士山プラン、筆者の場合

かくいう筆者も、富士山の山頂は未登頂、今年こそ富士山に登ろうと計画中。

8月初旬の平日、早朝から登り始めて途中の山小屋で一泊。翌日、山小屋からご来光を見て登頂、下山するプランだ。

しかし雨が降ったら仕方がない、今回もご縁がなかったとあきらめよう。

登山の目的は「登頂」ではなくて「無事下山すること」。

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