木村拓哉『Believe』は「謎不足」『アンチヒーロー』『ブルーモーメント』も…3強も崩れた春ドラマ全滅気配

木村拓哉、長谷川博己、山下智久 (C)ピンズバNEWS

4月期ドラマに「全滅気配」が漂ってきている――。

5月16日、木村拓哉(51)主演の連続ドラマ『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系/木曜夜9時~)の第4話が放送された。

【以下『Believe』第4話のネタバレを含みます】

『Believe』は、大手ゼネコン「帝和建設」の土木設計部部長・狩山陸(かりやま・りく/木村)が主人公の、手に汗握るサスペンスと人間ドラマが織りなす壮大な物語。不祥事の泥をかぶって刑務所に収監されていた狩山は、とある理由から真実を明らかにすべく脱獄。第4話で狩山は部下・南雲大樹(一ノ瀬颯/27)接触し、預けていた不正の証拠を受け取ろうとするも南雲の身に悲劇が起きて――という物語が描かれた。

「『Believe』はテレ朝の開局65周年記念ドラマでもあり、キャストも天海祐希さん(56)、小日向文世さん(70)、斎藤工さん(42)に竹内涼真さん(31)など超豪華。また、堺雅人さん(50)の『VIVANT』(TBS系/23年7月期)のように、放送まで詳細を明かさない宣伝戦略を取るなど、話題性抜群の作品だった。

第1話は、テレビ界が最重要視するコア視聴率(13歳から49歳までの個人視聴率)も悪くはなかったんですが……」(制作会社関係者=以下同)

若い視聴者層の数字であるコア視聴率。シニア層の視聴者が多いテレ朝はコア数字が取りづらい局として知られているが、『Believe』の第1話はコア2.8%。もうすぐで3%という堅調な滑り出しだったが――。

「第3話(5月9日)で2.2%まで落としてしまったんです。ついに主人公が脱獄したり、それを追い詰めようと動く刑事も本格的に動き出すなど大きく物語が動く回だと予告されていたので、多くの視聴者が見るのかも――と言われていたのですが、明確に伸び悩んでいますね」

『Believe』の伸び悩み――。

「要因として指摘されているのは、“謎不足”ですね。木村さん演じる主人公が捕まる悲劇のきっかけになった橋の崩落事件は原因も、それを会社が隠ぺいしようとした理由も第1話でほとんど描き切っているし、主人公の目的もハッキリしすぎている。『VIVANT』のような方法で告知していたのに、考察要素や先の読めない展開が少ないんですよね」

『Believe』に対しては、

《プリズンブレイクみたいな脱走物語?半沢直樹みたいな企業ドラマ?中途半端でつまらない》
《展開が予測できちゃって、崩落事故の謎もなんかピンとこない》

といった声が、X(旧ツイッター)にも寄せられている。

■4月クール“断トツトップ”でも『アンチヒーロー』が伸び悩む理由は――

「現在放送中の4月期ドラマは、総じてコア視聴率が厳しいことになってきています。若い層の視聴者がリアルタイム視聴をしていない、ということですよね。

当初、数字が良かった作品も落ちてきている。前述の『Believe』、そして日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系/日曜夜9時~)、さらには『ブルーモーメント』(フジテレビ系/水曜夜10時~)が当初、この4月期ドラマで“3強”と言える状態でしたが、視聴率は急落していますね」

5月19日に第6話が放送される『アンチヒーロー』は、長谷川博己(47)が主演の弁護士ドラマ。飯田和孝プロデューサーなど『VIVANT』を大ヒットさせたスタッフ陣が携わっている作品であること、『VIVANT』と同じく放送までキャストの役名など細部が伏せられていたことで放送前から注目を集めていた。

「第1話(4月14日)のコア視聴率は同時間帯トップの4.5%、第2話(21日)は上昇して4.8%。『VIVANT』のようにここからさらに盛り上がっていくのかと思われていたのですが、第3話(28日)で3.6%と急降下してしまったんですよね」

第4話(5月5日)はコア2.7%。これは真裏で大人気コンテンツ『鬼滅の刃』の『特別編集版「鬼滅の刃」刀鍛冶の里 敵襲編』(フジテレビ系)が放送していたからで、第5話(5月12日)は3.6%まで回復したが……。

「4話を除いて3.5%以上をキープ。決して悪い数字ではないし、4月期の連ドラでは抜けてトップです。しかし、最終回でコア10%台に達した『VIVANT』のような、凄まじい伸び方をする気配は全くないですよね。

『アンチヒーロー』への“伸び悩み”指摘……これに関しては、『VIVANT』のスタッフが作っているという点で期待値が高すぎたこと、さらには、主演の長谷川さん、敵役の野村萬斎さん(58)の濃い独特の演技が合わない視聴者もいることが理由とも言われていますね」

《なんだろう、、演技が大袈裟?わざとらしい?感じで合わなかった、、面白そうだったけど断念》《長谷川博己って前の日曜劇場でも思ったけど、舞台みたいな大袈裟な演技なんですよね》
《んー、やっぱり野村萬斎さんの演技が過剰過ぎる。時代劇系ならとても合うのになぁ》

といった視聴者からの声がネットに寄せられている。

『ブルーモーメント』は、山下智久(37)主演の、気象学のスペシャリスト・晴原柑九朗(はるはら・かんくろう/山下)らSDM(特別災害対策本部)が最前線で人命救助をする物語。原作は漫画家・小沢かな氏の作品で、気象庁気象研究所主任研究官の荒木健太郎氏が監修を務める漫画『BLUE MOMENT ブルーモーメント』(KADOKAWA)だ。

■視聴者が求めている山Pからはズレていたか

「裏番組がダウンタウンの大人気バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)ですが、第1話(4月24日)はコア2.9%と好調だったんです。しかし、第3話(5月8日)で2.1%まで数字を落としています。

山下さん演じる晴原は、直接現場に出てあらゆる気象状況を読み取り的確な指示を出すなど、とても魅力的なキャラクター。ですが、司令官みたいな感じで、最前線で直接救助活動をするのとは少し違う。これを“思っていたのとは違う”と感じてしまった視聴者もいるようです」

シナリオの雰囲気が、山下主演の『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズ(08年7月期~/フジテレビ系)や、鈴木亮平(41)主演の『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(21年7月期/TBS系)など“主人公が最前線で救命活動もするドクタードラマ”に近く、それを期待していた人もいたのだろう。

視聴者からは、

《TOKYOMERみたいにならないのは山Pが最前線に飛び出していかないから? 「絶対に諦めたくない!」とみんながピンチの時にヒーローみたいに駆けつけてくれるそういう安心感が山Pの役にはないんだよね、そこが残念》
《作戦参謀兼現場の指揮監督者である晴原は、基本的に現場の最前線にあっても、意識を集中して周囲を見渡しているか、インカムで指示を出しているか、パソコンをにらんでデータ解析をしているか。そういう絵面的な弱さは、今回(第3話)ちょっと出てしまったかな……》

といった声も上がっている。チームの役割ををしっかり描いたことで、“最前線で身体を張った人命救助をする”というのは消防班チーフ・園部優吾(水上恒司/25)が担っている感じだ。

「災害の怖さ、チームで救命活動を行なうリアル感などは素晴らしいですが、山下さんのファン、視聴者が求めていたものとは微妙にズレていたのかもしれませんね。山下さんが身体を張るシーンもゼロではないのですが、日々のトレーニングで筋骨隆々になった山下さんが激しく立ち回る熱いシーンを見たいという視聴者も多かったんでしょうね」

全作品の視聴率が深刻な感じになってきている4月期ドラマ。長谷川の『アンチヒーロー』は伸び悩み、木村の『Believe』と山下の『ブルーモーメント』は急降下と、“3強”からも視聴者は離れつつあるようだ――。

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