新NISAでは分散投資で「為替」と「物価上昇」に備えよう

2024年1月、従来のNISA制度が改良され新NISAとしてスタートしました。

新NISAをきっかけに、資産運用への関心が高まっています。

今回の記事では、「為替」と「物価上昇」をキーワードに、資産運用の考え方を整理します。

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円安進行で気になるこれからの資産運用

このところの円安進行に伴い、為替に関連するニュースが増えています。

円安によって輸入コストが上がり物価が上昇する、円安が追い風で訪日外国人が増えるなど、私たちの生活にも影響があります。

新NISAを活用して世界全体に分散投資をしていると、日々変化する為替の動きが気になるかもしれません。

すでに投資している場合は、「円安なので、円建ての資産が増えてうれしい」と感じたり、反対に「円高に戻る前に利益を確定したほうがいいのでは?」と考えることもあるでしょう。

これから投資をする場合は、「今後も円安が進むだろうから、いま投資しておこう!」「今から投資すると、将来円高になったときに、マイナスになってしまうのでは?」などと、為替をみて予測したくなるかもしれません。

自分の大切なお金を投資するわけですから、こうした考えを持つのは自然なことです。しかし、為替の短期的な動きを見て一喜一憂することには注意が必要です。

では、これからの投資においてどのように考えるべきなのでしょうか。次章で解説していきます。

気にすべきは本質的な為替リスク

世界中の資産に分散投資をしているなら、短期的な為替の動きを気にすべきではありません。投資のプロであっても為替の先行きを予測するのは難しいことです。短期的な動きに一喜一憂せず、長期的に保有し続けることでリターンを期待できます。

また、世界への分散投資は、為替の影響を抑えることにもつながります。

【写真2枚】1枚目/分散投資の効果、2枚目/物価上昇に備えた分散投資の考え方

多くの人にとって、資産運用をする目的は、将来必要なときに必要なお金を使いたいからではないでしょうか。

日本で暮らしていれば、円を使って買い物をします。一見、為替の影響はないように感じるかもしれませんが、そんなことはありません。円で海外のモノやサービスを買っているので、実は大いに為替の影響を受けているのです。

円が世界の中で強い資産(円高)になっていればよいのですが、そうではなく、円が世界の中で弱い資産(円安)になっていれば、円で買える海外のモノやサービスの量が減ってしまいます。

そこで、将来的に海外からモノやサービスを買うことまで考えて、資産をあらかじめ世界全体に幅広く分散しておくことが大切です。

そうすれば、将来、世界中のモノやサービスを買うとき、世界中に分散している資産からお金を使うことができ、為替の影響を抑えることにもつながります。

分散投資は物価上昇への備えになる

為替の動きは、日本の物価にも影響を及ぼします。大きな要素の一つが、円安の進行による輸入品の価格上昇です。食料品や光熱費などが上がったと感じる機会も増えているのではないでしょうか。国際情勢の影響をふまえると、日本も今後、物価上昇の時代に突入していくと考えるのが自然です。

分散投資は物価上昇への備えにもなります。株式や不動産といった資産は、現金とは違って、物価上昇に強いと言われています。物価上昇に強い資産を持っておくことで、モノそのものの価格上昇に備えられます。

地域だけでなく、株式や不動産、債券、金など、資産の種類を分散させておくことが大切(ウェルスナビ提供)

このように、世界中のさまざまな資産への分散投資は、長期的にはプラスのリターンが期待できるだけでなく、本質的な為替リスクの抑制と、物価上昇への備えにもなると考えられます。

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