「30年間ありがとう」―。オーナーの急死により20日から休部するバレーボールVリーグ男子の「大分三好ヴァイセアドラー」は19日、大分市屋山のチーム体育館でファン感謝祭を開き、活動に区切りをつけた。現役続行を目指す選手たちは支えてくれた人たちに感謝を伝え、次の舞台への一歩を踏み出した。
1面しかないコートを取り囲むように約300人のファンが詰めかけた。ムレイ・ポール監督(39)と選手14人が登場し紅白戦を披露。迫力満点のスパイクやレシーブで会場を沸かせた。サイン会や写真撮影、ユニホームのプレゼントもあり、小さな体育館は最高の盛り上がりを見せた。
20年来のファンで千葉県我孫子市から訪れた小幡裕子さん(46)は「三好からたくさんの元気をもらった。どんな形であれ継続してほしかった」と惜しんだ。
長年、チームが続けてきた小中学生向けの指導を受けるのを楽しみにしていた大分市鴛野の池永香奈恵さん(38)、晃都君(8)親子は「最後に一流のプレーを見ることができて良かった」と話した。
チームはオーナーだった三好博(あつし)さんが1994年に創部。今年3月11日に三好さんが69歳で亡くなり、譲渡先が見つからず休部が決まった。
来場したOBの高橋貴広さん(35)は「三好先生には本当に感謝している」。ポール監督は「ここでの経験を必ず次に生かしたい」と話した。
選手一人一人が移籍やセカンドキャリアを検討していることを明かし「バレーができるのは当たり前じゃない」と口々に述べた。
最後に、チームディレクターで前監督の小川貴史さん(45)が「今日を涙で締めたくない。下を向かずに前を向き、全員が今後もチャレンジを続けていく」と述べ、それぞれの新たな船出を後押しした。