中国の若者、質の高い旅を求め穴場観光地へ

中国の若者、質の高い旅を求め穴場観光地へ

新疆ウイグル自治区ボルタラ・モンゴル自治州でサイラム湖畔を散策する観光客。(5月1日撮影、ウルムチ=新華社記者/杜剛)

 【新華社北京5月20日】中国広西チワン族自治区桂林市陽朔県で竹いかだの川下りを体験し、河北省石家荘市正定県の「正定夜市」で全国のグルメを味わい、江西省上饒市婺源(ぶげん)県で趣ある古鎮を歩き、福建省福州市の平潭島で夜光虫の作用により青く輝く海を眺める。中国では穴場の旅行先に目を向ける若者が増えている。

 オンライン旅行大手の同程旅行が発表した「2024メーデー連休観光消費報告」によると、今年の連休期間中、「三線」(地方の主要都市)以下の数十都市でホテル予約が前年同期の2倍以上となり、旅行先として地方都市や農村を選ぶ傾向がますます顕著になった。旅行申し込みの前年同期比伸び率は、県域市場が地方の三線・四線都市を上回り、三線・四線都市が大都市と中核都市を上回った。生活関連サービスを手がける美団の担当者は、最近人気が高まっている正定県で1~3日に県外観光客による宿泊予約が前年と比べ3.2倍になったと述べた。

中国の若者、質の高い旅を求め穴場観光地へ

貴州省黔東南(けんとうなん)ミャオ族トン族自治州剣河県の温浴施設「仰阿莎温泉小鎮」で温泉を楽しむ観光客。(5月3日、ドローンから、剣河=新華社記者/楊文斌)

 旅行先の選び方はさまざまな事情を反映している。中国青年報社社会調査センターが若者1001人を対象に実施した調査では、回答者の58.8%が穴場の観光地を選ぶ傾向を示し、人気観光地の35.8%を上回った。対話型の分析では、あまり知られていない都市や観光スポットを選択する割合は「00後」と呼ばれる2000年代生まれの人で70.0%に上った。選択理由の1位は「人混みを避けてより良い体験ができる」、2位は「ゆっくりと深く観光できる」、3位は「出費を抑えられ、コストパフォーマンスが高い」だった。

中国の若者、質の高い旅を求め穴場観光地へ

安徽省黄山市黟(い)県の西逓(せいてい)古村を訪れた人たち。(5月4日、ドローンから、黄山=新華社配信/施亜磊)

 山東省に住む「95後」(1995~99年生まれ)世代の劉念(りゅう・ねん)さんは、旅行先での体験がより重視されるようになり、穴場観光地の人気が高まったと考えている。「有名観光地で人混みにもまれるくらいなら、知名度は高くなくとも楽しく過ごせる場所を選びたい」という。観光地が人気を得るためには特色とサービスが重要とした上で、「都市の魅力を高めるには独自性が必要。人気の維持には楽しい体験を提供できるか、サービスがしっかりしているかが大切」と話した。

中国の若者、質の高い旅を求め穴場観光地へ

夜光虫の作用により青く輝く福建省福州市平潭県沿岸の海。(4月11日撮影、平潭=新華社配信)

 大手旅行会社・携程集団(トリップドットコムグループ)傘下のシンクタンク、携程研究院のアナリスト王亜磊(おう・あらい)氏は、人がひしめく大都市と比べ、地方都市や農村は観光客が心身ともにリラックスでき、宿泊や飲食のコストパフォーマンスも高いと指摘。シンクタンク「中国数実融合(デジタル技術・実体経済融合)50人論壇」の専門家、洪勇(こう・ゆう)氏は、県域観光の人気急上昇が文化・観光消費の新傾向として重要との見方を示し、地域経済の発展促進、住民の収入増に加え、文化・観光産業のバランスの取れた発展を考える上で新たなヒントになると語った。(記者/李卓璠)

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