元恋人への暴行映像が公開された米ラッパー「言い訳できない」謝罪を投稿

「ディディ」の愛称で知られる、ラッパーで実業家のショーン・コムズ氏(2023年10月26日)

(編注:文中には暴力の描写が含まれています)

当時恋人だった、歌手で俳優のキャシー・ヴェンチュラ氏に暴力をふるう映像が公開された「ディディ」ことアメリカのラッパーで実業家のショーン・コムズ氏が、ソーシャルメディアに謝罪コメントを投稿した。

この謝罪の2日前の5月17日に、CNNがコムズ氏が2016年にロサンゼルスのインターコンチネンタルホテル(現在は閉鎖)のエレベーターホールで、ヴェンチュラ氏に暴行を加える様子を捉えた監視カメラの映像を公開した。

映像では、腰にタオルを巻いて靴下を履いた状態のコムズ氏が、荷物を持って廊下を歩くヴェンチュラ氏の後を追いかけて、エレベーターホールで首をつかんで床に叩きつける様子が映っていた。

コムズ氏は床に倒れ込んだヴェンチュラ氏を蹴り、荷物を奪った後に再度蹴って服をつかみ、廊下に引きずり戻している。

暴力を振るわれたヴェンチュラ氏は、荷物を奪ったコムズ氏が去った後にエレベーターホールの館内電話で話しをしている。その後、コムズ氏が戻ってきてヴェンチュラ氏を押し、物を投げつけるように見える場面も映っている。

【動画】CNNが公開した、コムズ氏がホテルでヴェンチュラ氏に暴力を振るう様子が記録された動画

コムズ氏は動画が公開されてから2日後の5月19日にインスタグラムに謝罪の動画を投稿。

ヴェンチュラ氏の名前や具体的な被害については直接触れずに、自分の行為について「全責任を負っている」と語った。

キャシー・ヴェンチュラ氏とショーン・コムズ氏(2015年2月25日)

「当時自分はめちゃくちゃで、どん底にいました。でも言い訳はしません。あの映像の行動は許されるものじゃない。行動の責任はすべて自分にある。自分が嫌になる。あの時も自己嫌悪を抱いたし、今も自分にうんざりしている」

コムズ氏は、事件後にセラピーとリハビリ施設に通い始めたとも説明している。

「神の慈悲と恵みを求めなければならなかった。毎日毎日、より良い男になるよう努力した。許しをこうつもりはありません。心から謝罪します」

弁護士は謝罪は見せかけだと非難

ヴェンチュラ氏は2023年11月、10年以上にわたる交際の間にコムズ氏から身体的、性的、精神的虐待を繰り返されたとして裁判を起こした

ふたりは提訴翌日に非公開で和解したものの、コムズ氏の弁護士は、「和解は断じて不正行為を認めるものではない」と述べていた。

コムズ氏はヴェンチュラ氏の他にも、性的不正行為や強要、その他の違法行為で5件の裁判を起こされている。

コムズ氏が19日に投稿した動画について、ヴェンチュラ氏の代理人を務める法律事務所ヴィグダーのパートナー弁護士メレディス・ファイアトグ氏は、見せかけの謝罪に過ぎないと声明で批判した。

「コムズ氏の声明は、彼が傷つけた多くの人々ではなく、自分自身のためのものです」

「キャシーや複数の女性たちが名乗り出た時、彼はすべてを否定し、被害者たちは名声目当てだと主張しました。度重なる否定が偽りであることが証明されて初めて“謝罪”せざるを得なかったことは、彼が哀れにうろたえていることを示しています。軽薄な言葉に動かされる人は誰もいないでしょう」

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。

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