子犬がやってしまう『危険行為』3選…最悪のケースに発展するリスクも…事故を未然に防ぐ対策とは?

子犬がやってしまう「危険行為」

犬が成長するうえで、好奇心や遊びは大切な要素です。しかし、この時期についついやってしまう行動が大けがに繋がったり、場合によっては命の危険に繋がったりすることも注意が必要です。

では、子犬がやってしまう「危険行為」には、具体的にどのような行為が該当するのでしょうか。

1.高いところからジャンプをする

子犬は体を使った遊びが大好きで、しかも体を持て余すようにぴょんぴょん跳ね回ることがあります。しかし高いところから飛び降りさせることは大変危険です。

子犬は骨格やそれを支える筋肉がまだ不完全なため、高いところから飛び降りたときの衝撃をうまく受け流すことができません。

また、視力も人間が思うより発達していないので、高いところから地面までの距離を把握していなかったり、下に何か危険なものがあるかどうかも見えていない可能性があります。

むやみに飛び降りさせることで、子犬の膝や腰の関節に大きな負担がかかって脱臼を起こしたり、骨折、関節の形成不全などを引き起こす可能性もあります。

そのため、あまり高低差があるところは歩かせず、必要に応じてスロープなどを設置して、子犬が飛び降りずに済むようにしてあげましょう。

2.激しい運動を長時間させる

犬は走ることが大好きなので、広いところに行ったり興奮していたりすると際限なく走り回ることがあります。成長期の子犬は体力も余っているので、気が付くとずっと走っているということもあるかもしれません。

しかし、こちらも場合によっては危険行為に該当します。体が出来上がっていない子犬に激しい運動をさせ続けることは関節、筋肉に過度の負担をかけることになりますし、転倒で骨折などの危険もあるでしょう。

また、走り続けてしまうと、いつまでたっても興奮が収まらず、さらに激しく動き続けてしまうことにもつながります。

ほかにも、食後に激しい運動をさせると消化不良を起こしたり、場合によっては「胃捻転」を引き起こしてしまったりすることもあります。胃捻転は早急に処置をしないと命の危険もあるため、食後はゆっくり休ませてあげるようにしましょう。

子犬を運動させる場合、(少し早いかな?)というタイミングで適度に休憩を挟みながら、しっかり様子を観察してあげてください。

3.人間用のぬいぐるみやおもちゃで遊ぶ

子犬は歯の生え変わりの時期もあり、ものを噛むことが大好きです。

犬用に作られた適度な固さ、飾り気のないシンプルなもの、などであればよいのですが、ついつい「可愛いから」といって人間用のぬいぐるみなどを与えてしまうこともあります。また、とくに与えてはいないのに、子犬がそれらを勝手に持っていってしまうこともあるかもしれません。

人間用のおもちゃの場合、歯で噛んだり破壊したりという使われ方を想定していない強度のものがあります。そのため、犬が遊んでいるうちに装飾物がちぎれてしまうこともあるでしょう。

その壊れた破片や装飾物をそのままにしておくと、子犬はそれが何か分からず間違って飲み込んでしまう危険性があります。

ごく小さなものであれば時間が経てば排泄されますが、万が一のどに詰まったり消化管の中で詰まったりすれば手術が必要です。犬に与えるおもちゃは、丈夫で装飾品が少ないものにしたほうがよいでしょう。

子犬の成長期に必要なこと

犬の成長期は体格や犬種によって異なりますが、一般的には生後一年から一年半くらいの時期を指します。生まれてから、心と体の成長が大体止まる頃までですね。

たとえば、小型犬の場合、体の成長は生後十カ月ほどで止まります。大型犬は生後十八か月ほどで体が大体出来上がるでしょう。

この時期は骨格が急成長するだけでなく、筋肉が発達したり免疫の仕組みなどがちゃんと働くように発達したりと、体の中で大きな変化が起こる時期です。これは犬にとっても相当な負荷がかかることでしょう。そしてこの時期をサポートするには、適切な食事と運動が必要です。

また、犬は体だけでなく心も成長します。

犬は生まれて約二カ月間、母犬、兄弟犬と一緒に育つことが望ましい、と言われています。

生後三週くらいから十二週くらいまでの時期は「社会化期」と呼ばれ、犬社会のこと、人間社会のことなど様々な物事に対して経験して慣れ、受け入れやすい時期と考えられています。犬はこの時期に経験したことは柔軟に受け入れ、その後成犬になったときも過剰に反応することがなくなります。

この社会化は、犬の精神的な成長を促すもので、一般的な社会化期を過ぎても継続して様々な物事を経験させたり慣れさせてあげることは可能であり、大切なサポートとなります。

そのため、危険行為をしそうだからといって全てのものを取り上げてしまうのではなく、成長に必要な刺激も適度に与えつつ、きちんと管理徹底した上で適切な対策を施しながら見守っていくことが必要です。

まとめ

成長期の子犬は何にでも興味を示し、なんでも自分でやりたがります。危険な行為に繋がらないよう、あらかじめ飼い主のほうで遊ぶ場所や遊ぶものを制限して与えられるようにしておくと、悲しい事故を防ぐことができるでしょう。

しかし、なんでも過度に制限してしまうと、最低限必要な刺激を享受できず、子犬の心の成長に影響がある可能性もあります。

まずは子犬が遊んでいるときは飼い主が常にしっかり見守って、適切な声掛けができるようにしておくとよいですね。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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