「収穫量は3分の1 今年は全くダメだった」暖冬で梅が不作 取引価格も1.6倍に

伝統的な保存食「梅干し」。これからの季節、熱中症予防にもなります。

その原料となる梅の実が今年、記録的な不作となっていて、価格が高騰しています。

暖かい冬 花が咲かず

佐賀県伊万里市の伊万里梅園です。

シーズンには約6500本の梅の花が咲き誇る西日本最大級の農園です

梅は2月に花が咲き、実をつけながら、成長していきます。今年は5月から収穫が始まりました。

こちらで栽培している梅は3種類。カリカリ梅になる小梅(こうめ)梅酒などに使われる古城(こじろ)そして、肉厚の梅干しになる南高(なんこう)です。

梅農家・木須治紀さん
「小梅の収穫量は去年と比べて3分の1。今年はダメ全くダメだった。消毒する時に見てまわったら、実がなってないところは全くなってない」

不作の最大の原因は暖冬です。

梅は冬に5度以下の気温に700~800時間さらされると、花を咲かせます。

しかし、今年は暖冬の影響でうまく成長することが出来ず、メシベが短かったりなくなったりするなど、花が思うように咲きませんでした。

そのため、梅の実ができず不作になってしまったということです。

1キロ500円→800円に

伊万里市のJAが取り扱う梅は年間約300トン。しかし今年は150トンから200トンと半分近くにまで減る見込みです。

流通が始まった小梅の価格は、1キロ約800円。去年は1キロ500円でした。1.6倍に高騰しています。

古城や南高も含め、全ての品種の価格がほぼ同じ上げ幅になるということです。

JA伊万里・営農畜産部 中島勝博さん
「量が少なければ値段が上がることになる。ただ半分しかとれなくて倍の値段で売れることにはならないので、単価は高いが例年の販売高にはならないと思う」

全国シェア6割の和歌山県も

全国の梅の生産量の6割を占める和歌山県も記録的な不作にみまわれています。

不作の原因は、暖冬と3月にひょうが降り傷がついてしまったこと。JA紀南によると、今年の生産量は平年に比べ、小梅54%、古城49%、南高62%になる見通しです。

価格への影響について、JA紀南の担当者は、「梅は保存がきき、各メーカーで在庫を抱えているため、その量次第。早ければ来年、値上げの可能性もある」と話しています。

この冬は1989年の統計開始以来、平均気温が2番目に高い暖冬でした。

こうした暖冬が今後も続けば作物への影響はさらに広がるかもしれません。

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