北陸新幹線延伸から2か月半 福井エリアの4駅と周辺を探訪 在来線との乗り継ぎはスムーズか検証も

北陸新幹線

■羽川英樹の出発進行!

2024年3月16日、北陸新幹線が『金沢』から『敦賀』まで延伸され、6つの駅が誕生しました。それから約2か月半が経ち、だいぶ落ち着いてきたところで、今回、『敦賀』から乗車し、福井県内の4つの新しい駅の周辺には何があるのか、『敦賀』での在来線特急との乗り継ぎはスムーズなのか、“鉄スポット”はどこかなどを実地検証してきました。

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新しくなった敦賀駅は高さ21メートルで7階建てのビルに相当すると言いますから、巨大な百貨店ができたといった感じです。街側の西口は、敦賀港の波のきらめきや港町をイメージした紺色を生かした外観となっています。また東側にも新しく「やまなみ口」が誕生。付近には木の芽川が流れ、のどかな風景がひろがります。

新幹線延伸まで、特急「サンダーバード」や「しらさぎ」は、従来の在来線ホームに発着していました。しかし、今は新幹線ホームの1階に線路が移設され、乗り換えもスムーズ。33番線からは大阪行きの「サンダーバード」、34番線からは名古屋行の「しらさぎ」が発車していきますが、34番は京都駅と並ぶ国内最大のホームの数字となります。

大阪からの「サンダーバード」は最速1時間20分で『敦賀』に到着。降りた乗客はエスカレーターでまず2階へ。ここで新幹線改札を通って、もう一度エスカレーターに乗り、3階の新幹線ホームに向かいます。多くの誘導員がいるため、まず間違うことはありません。

1階で「サンダーバード」を降りてから3階の新幹線ホームまで、普通に歩いて私の足だと3分30秒で到着。意外にスムーズな移動でした。ちなみにJRでは乗り継ぎ接続時間を8分で設定しています。ただ12両編成なので、先頭になる自由席や最後尾のグランクラスの方は少しお急ぎください。

敦賀駅の新幹線ホームは船の甲板をイメージしており、珍しいフローリング仕上げになっています。『敦賀』を発着する列車には、東京と結ぶ「かがやき」「はくたか」、金沢・富山といった近距離方面の「つるぎ」の3つのタイプがあります。私は富山行「つるぎ」の自由席に乗り込みました。

『敦賀』を出てすぐに長大なトンネルに差し掛かります。新北陸トンネルは長さなんと1万9760メートルといいますから、約20キロメートルあり、在来線トンネルの1.5倍になります。これをわずか5分ほどで駆け抜けていくからびっくり。そして携帯電話の通話も可能になっているのにも驚きました。

『越前たけふ』は在来線の駅とは離れた山間に位置しています。東口には山が迫っており、岩内山登山の入り口にもなっています。また駅前駐車場が無料なのも嬉しいですね。西口は越前和紙の流し漉きをイメージにした駅舎で、隣接して道の駅があるのも面白い光景。また北陸道の武生インターが目の前にあるのも珍しいケースでしょう。

4キロメートル離れた街中には旧在来線・ハピライン福井の武生駅や、福井鉄道のたけふ新駅があります。福井鉄道の駅はもともと「越前武生」を名乗っていましたが、新幹線と同じになり、ややこしい(※重複を避ける)ので改名したのです。

越前市は菊人形や和紙・箪笥などで有名ですが、今のイチオシは紫式部なんです。都以外で唯一住んでいたというまち。「紫ゆかりの館」や「大河ドラマ館」には多くの観光客が訪れています。またハピライン福井では武生~王子保間に新駅「しきぶ」を来春に設置する予定です。

そして越前市で鉄ちゃんにおすすめのスポットは福井鉄道・北府(きたご)駅です。趣きある現役の大正時代の木造駅舎は国の登録有形文化財にもなっています。駅舎内には貴重な鉄道資料や備品など120点を展示。また車庫では昭和期に活躍した懐かしいモハ200形が静かにたたずんでいます。

北陸新幹線に話を戻しましょう。春は桜が美しい足羽川を渡ると『福井』。街側の西口では多くの恐竜たちが出迎えてくれます。新幹線延伸とともにエキナカには新しい商業施設「くるふ福井」がオープン。また福井初の超高層タワーとなったコートヤード・バイ・マリオット福井は高さ120メートルで、客室からは新幹線が走る様子も一望できます。

田園風景の中を走り抜けると『芦原温泉』。県内屈指の温泉地や東尋坊への玄関口となる駅です。はぴらいん福井との共同駅舎に隣接して、にぎわい施設「アフレア」がオープンしています。芦原温泉は74もの源泉をもっており、各旅館の女将の心のこもったおもてなしも好評です。

このあと「つるぎ」は石川県に入って、金沢から富山へと向かいますが、今回のリポートは福井県内の4駅で終了。

では、新幹線延伸で所要時間はどうなったのか比較しておきましょう。『大阪』~『福井』は1時間44分で、わずか3分短縮しただけ。『大阪』~『金沢』では2時間9分で22分の短縮となります。そして、これが『敦賀』~『東京』になると3時間8分で、50分短縮と、延伸効果が発揮されます。

また北陸新幹線には東海道・山陽新幹線にはないグランクラスが設置されています。少々値は張りますが、チャンスがあれば、ぜひ一度ゴージャスな旅も味わってみたいものです。(羽川英樹)

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