衆院議長宛に殺人予告の手紙 相模原障害者施設殺傷

 相模原市の知的障害者施設で19人が殺害された事件で、容疑の元職員が2月14、15日、東京・永田町の衆院議長公邸に「私は障害者を抹殺できる」などと事件を予告する手紙を持参し、同月19日には津久井署員に同内容の話をしていたことが26日、神奈川県警や県などへの取材で分かった。特異な言動を把握しながら事件を防げなかったが、県警は「現時点では各段階で必要な措置は取っていた」としている。

 衆院議長宛ての手紙で、同容疑者は「私の目標は重複障害者の方が家庭内の生活、社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界」「人類のためにできることを真剣に考えた答えです」などと主張。その上で「職員の少ない夜勤に決行」「抹殺した後は自首します」と予言していた。

 同署は、15日に警視庁から連絡を受けて施設周辺の警戒を開始。19日には同容疑者と施設側との面談に立ち会った。「安楽死」「抹殺」などと発言したため相模原市に通報し、同市は精神保健福祉法に基づいて同容疑者を措置入院させた。

 入院中の尿検査などで大麻の陽性反応が出たが、警察への通報はなかった。退院直後の3月4日には、同署員が同容疑者宅を訪問。不在のため実家に電話すると、親が「(同容疑者は)ここにいる」と答えたという。その後は接触していなかった。

 また、事件前日の7月25日午前には、同市緑区久保沢2丁目のファストフード店駐車場で、スペースからはみ出している車の持ち主が同容疑者と判明。署に呼び出して鍵を渡したが、その際「特異な言動は認められなかった」(県警刑事部)という。

 県警は「必要な措置はしていたが、結果的に多数の方が亡くなり、けがをした。今後事実関係を確認したい」としている。

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