アルコール依存症やPTSD 克服体験を語る

 本人の努力と周囲の支えで心の病を克服した当事者の講演会が31日、横浜市金沢区のいきいきセンター金沢で開かれた。アルコール依存症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を経験した男女2人が体験を語り、支えてくれる人との出会い、「自分は変われる」と希望を持つことの大切さを訴えた。

 講演会は、摂食障害、パーソナリティー障害の女性のための地域活動支援センター「ミモザ」(同区)を運営しているNPO法人「のびの会」(久間久恵理事長)の主催。パーソナリティー障害の当事者、家族、支援者ら約80人が参加した。

 アルコール依存症だった男性(42)は「酒を飲んでしまうと犯罪も平気な化け物になり、周囲に不幸をまき散らした」と語った。しかし、2度目の入院によって「最悪の人間のまま死ぬのは嫌だ。人らしく生きよう」と決意し、6年前に断酒。主治医のサポートと断酒会への参加で人間性と人間関係を回復していったという。

 ドメスティックバイオレンスによるPTSDから回復した女性(37)は「私には存在価値はないと思い気力を失っていた。デコアートの資格を取り、コンテストで賞を取ったことで自信を回復した。希望を失ってはいけない」と語った。2人の講演に同会嘱託医で下総精神医療センター副院長の中根潤医師は「重要なのは出会いの機会をつくること」と支援の重要性を指摘した。

 講演に続き、当事者、家族、支援者ごとのグループミーティングも行ったが、当事者の中には「相模原殺傷事件の報道で非常に不安感が増した」と心身への影響を語る人もいた。久間理事長は同事件について「人間は変わるし、変われます。容疑者を真剣に見守る人がどれだけいたのか。取り巻く全員の問題ではないか」と指摘した。

 同会への問い合わせは、事務局電話045(787)0889。

© 株式会社神奈川新聞社