医師の「単純ミス」で動脈損傷 横浜市立市民病院

 横浜市保土ケ谷区の市立市民病院(石原淳病院長)は2日、脳動脈瘤(りゅう)の手術中に執刀医が動脈を損傷させる事故があった、と発表した。市内在住の50代女性患者は、その後くも膜下出血を発症し、脳に障害が残ったという。執刀医は脳神経外科長。調査委員会は、動脈損傷について医師の「単純なミス」と説明している。

 同病院によると、女性は未破裂脳動脈瘤と診断され、今年2月16日に開頭手術を受けた。医師が器具を使って脳動脈瘤の周囲を剥離しようとした際、約5ミリ離れた右内頸(けい)動脈を損傷した。

 術後の検査で、損傷した動脈に2ミリの瘤が見つかった。専門医の意見を踏まえて経過観察していたが、女性は3月1日にトイレで意識を失い、くも膜下出血を発症した。容体は安定しているものの、体を動かしたり、言葉を発したりできない状態という。

 医師は同様の手術実績があり、手術当日も健康状態に問題はなかった。外部専門医らを交えた調査委員会は、損傷した動脈の突出部から出血し、くも膜下出血を発症した可能性が最も高いと結論付けた。

 同病院は女性の家族に謝罪した上で今後の治療方針を話し合っているという。

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