作家・マサコ・ムトーの世界とは 鎌倉で30日、娘が講演

 横浜市港北区在住のエッセイストで作家のヒロコ・ムトーさんが30日、鎌倉市小町の鎌倉婦人子供会館ホールで、自身の母について語る講演「70歳からの人生−マサコ・ムトーの世界」を開催する。同館主催。70歳からパステル画、88歳から豆紙人形の制作を始め、パリでの個展も成功させた母の「今を慈しむ生き方」を伝える。人形の展示も行われる。

 マサコさんは70歳で片目の視力を失った。足も悪くしていた。念願だった絵を習い始めた。6年後には個展を開いた。90歳を目前に今度は豆紙人形を始めた。在りし日の記憶を包むように、大正や昭和の懐かしい風景を再現した。

 大病と手術を繰り返しながら、93歳で亡くなるまで300点を作り上げた。パリで開いた個展を訪れた駐仏日本大使が感動し、作品の一部が当時のシラク大統領へ贈られた。

 娘で作家のヒロコさんは「普通のおばあちゃん」が次々と起こす奇跡をそばで見続けた。「今が始まり。毎日が始まり」。母のメッセージに「がつんとやられた」。

 自らも娘がいじめに遭った経験などを基に、国内外の小中学校で命の大切さやいじめの理不尽さを伝える活動を始めた。功績を認められ、県ボランタリー活動奨励賞を受賞した。

 今回の講演では、主に母・マサコさんの70歳からの人生を語る。「平凡に目立たず生きた大正生まれのおばあちゃんが、人生の最後に大輪を咲かせた。どんなときも遅すぎることなんてないということを、知ってもらえたらうれしい」。講演は午後1時半〜3時。絵画や人形などの作品も展示される。入場料750円。申し込み・問い合わせは鎌倉婦人子供会館電話0467(22)0507。

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