改憲論議呼び掛け 臨時国会召集

◆首相所信表明 TPP早期発効へ決意 第192臨時国会が26日召集され、安倍晋三首相が衆参両院で所信表明演説を行った。憲法改正に関し、改憲案を国民に提示するのは「国会議員の責任」として、与野党を超えて衆参両院の憲法審査会で議論を深めるよう呼び掛けた。環太平洋連携協定(TPP)の早期発効に取り組む決意を表明。反対論が強まる米国での承認を後押しするため、11月8日に実施される米大統領選より前の10月中の衆院通過を目指し、採決強行も辞さない構えだ。野党は徹底抗戦する方針で、与野党攻防は激しさを増す見通しだ。

 演説で首相は、天皇陛下の生前退位を巡り、有識者会議で議論を進める考えを示した。北朝鮮の核・ミサイル開発に断固対応する方針も打ち出した。27日には衆院で所信表明に対する各党の代表質問が始まり、論戦が本格化する。

 首相は今国会を「アベノミクス加速国会」と銘打ち、デフレ脱却に向け、経済最優先で取り組む姿勢を鮮明にしている。経済対策を盛り込んだ2016年度第2次補正予算を10月中旬には成立させ、直ちにTPP承認案などの審議に入りたい考えだ。10月中に衆院を通過すれば、会期末の11月30日までの承認が可能となる。

 政権が掲げる「働き方改革」に関し、首相は演説で、正社員と非正規社員の賃金格差をなくす「同一労働同一賃金」の実現を約束。「不合理な待遇差を是正するため、新たなガイドラインを、年内を目途に策定する」と訴えた。

 外交については、12月のプーチン・ロシア大統領の訪日実現により、北方領土問題を含む平和条約交渉を「首脳同士のリーダーシップで前進させる」と意欲を見せた。

 日本の外交・安全保障の基軸は日米同盟で「これは不変の原則だ」と指摘。両国の強い信頼関係の下で「沖縄の基地負担軽減に全力を尽くす」と述べた。米軍専用施設「北部訓練場」(沖縄県東村、国頭村)の部分返還実現に向けた政府の取り組みに理解を求めた。

© 株式会社神奈川新聞社