シカ捕獲「前年度並み」 丹沢生息4300頭と推定

 ◆県が16年度管理計画 県はこのほど、2016年度のニホンジカ管理事業実施計画を策定した。丹沢山地を中心とした管理捕獲の目標値は前年度と同レベルとし、近年生息数が増加して食害が懸念される相模原市緑区、箱根山地など周辺の分布拡大防止区域でも引き続き高く設定した。現行の第3次保護管理計画(12〜16年度)の最終年度を迎え、丹沢の生息数を約4300頭と推定した。

 計画によると、16年度の管理捕獲の目標値は1595頭に設定。内訳は「自然植生回復のため」が525頭、「農作物被害軽減」などが1070頭。こうした保護管理区域での対象とは別に、分布拡大防止区域では前年度から大幅に引き上げた捕獲水準を維持、270頭とした。

 15年度の実績は、保護管理区域で目標の1855頭に対して1432頭。内訳は、丹沢の中央部や高標高域で専門のワイルドライフレンジャーらによる自然植生回復分が601頭(目標515頭)、被害軽減分が831頭(同1340頭)。

 また、分布拡大防止区域において、市町村が主体となって捕獲したのが111頭(同255頭)。目標値を引き上げたが、生息密度が比較的低く、効率的な捕獲が難しいなどで達成率は約4割にとどまった。

 一方、シカによる農作物被害はやや悪化。15年度のの被害面積は約21ヘクタールで野菜を中心に約104トンに及び、被害額は過去5年間で最多の約2600万円になった。

 同実施計画は保護管理計画に基づいて毎年度策定される。現行の第3次では5500頭を基数に「初期に特に強い捕獲圧をかける」として高い目標値で推移してきた。

 今回は、現行計画を検証、次期計画策定に生かすため、これまでの捕獲実績を踏まえて生息状況を改めて推定した。保護管理区域では4289頭で、この10年間で自然植生回復エリアを中心に減少。分布拡大防止区域は北部で365頭、南部で518頭で、いずれも増加傾向にあるとした。

© 株式会社神奈川新聞社