地域のため45年 「防犯、防災これからも」

 ◆神奈川区の伊東満町内会長 住民の交流を深め、ときに地域の課題解決も図る自治会町内会。横浜市神奈川区の伊東満さん(88)は地元町内会の会長を務め、45年になる。今でも防災訓練の先頭に立ち、地域住民の信頼は厚い。「これまで活動できたのは周囲の支えがあってこそ」と感謝を口にする。

 今月25日、同区の市立幸ケ谷小学校グラウンドで防災訓練が開かれた。防災服を着た伊東さんは「地震などの災害の際には、小学校の敷地内にある倉庫の備品を役立ててほしい」とあいさつした。

 前任者に頼まれ、地元の飯田町町内会(100世帯)の会長職を引き受けたのは43歳のとき。近くの市中央卸売市場本場(神奈川区)で、仲卸会社の3代目として働いていた。起床は午前3時半、帰宅は午後3時前後。「動きやすい市場勤務だから、町内会の要職をできた」と振り返る。

 1983年から神奈川自治連合会長を兼務、97年からは区内に21ある連合町内会の代表者の肩書も加わった。2004年からは2期連続で市町内会連合会会長を務めるなど、“地域の顔”として活躍。「仕事と会長の業務で遊ぶ時間もなく大変だけど、やりがいもあった」と充実感にあふれる。

 「ここは昔からの下町。近所付き合いもいい。新住民との交流もうまくいっている」という。9年ほど前には熱心な勧誘が実り、旧日本鋼管浅野ドック跡に再開発された大型マンションの自治会が神奈川自治連合会に加わった。「地区内に祭事がない新住民の親子が近くの神社のお祭りに来た。笑顔でみこしをかつぐ姿を見てうれしくなった」と目を細める。

 行事や会議にはほとんど出席しているが、来年の神奈川区の区制90周年を一区切りに引退も考えている。後任も探しながら、「自治会は防犯、防災で大切な役割を担っている。体が動く限り協力する」と話す。

 市地域活動推進課によると、「自治会役員の高齢化は進んでいるが、これだけ長く貢献されている人はいない」という。今春には旭日単光章を受章。10月下旬には市内のホテルで祝う会が予定されている。

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