調書偽造の大麻事件 証拠排除で検察争わず 横浜地裁

 大麻取締法違反の捜査で警察官による虚偽の調書作成が発覚した事件の公判が29日、横浜地裁(国井恒志裁判官)で開かれた。同法違反罪に問われた男性被告(25)の弁護側は捜査の違法性を主張し、調書に基づき押収された大麻などの証拠を裁判で排除するよう求めた。検察側も証拠排除を積極的に争わない姿勢を示し、無罪が言い渡される公算が大きくなった。

 事件では、大船署刑事課の40代の元巡査部長(懲戒免職)が昨年10月、男性が自宅で使用するバッグ内に大麻があるのを聴取相手が目撃したとする虚偽の調書を作成。同調書を資料として捜索令状を取得し、家宅捜索を行っていた。

 捜索でバッグとは別の場所から大麻が見つかり被告は起訴されたが、その後に調書の偽造が発覚。横浜簡裁は8月、証拠隠滅などの罪で元巡査部長に罰金50万円の略式命令を出した。

 弁護側は捜査段階から、「大麻は被告のものではない」と無罪を主張している。次回公判で、地裁は大麻などの証拠を排除するかどうか判断を示す見込み。

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