リニア、原発、安全は… 地震めぐり講演 川崎

 多くの活断層を横切るリニア中央新幹線や原子力発電所の安全性をテーマにした講演会が9月29日夜、麻生市民館(神奈川県川崎市麻生区)で開かれた。リニアの沿線住民ら190人が訪れ、過去の災害事例から課題を考えた。

 リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会と脱原発かわさき市民の共催で、地震学に詳しい武蔵野学院大学の島村英紀特任教授が講演。国内で起きる地震の仕組みから解説した。その上で、1930年、活断層を掘り抜いた東海道線の丹那トンネルの工事中に直下型地震が発生し、トンネルが2・7メートル近く左右に食い違った事例や、4月の熊本地震で回送中の九州新幹線が脱線した事例などを紹介した。

 島村特任教授は「活断層は見えているだけで2千、分かっていないものも含めると6千あるのではといわれる。地震はどこでも起こりうる上、予知が難しい」と強調し、「事故が起きれば影響が長引くような原発などは造るべきではない」と見解を述べた。リニアはルートの86%が地下や山岳トンネルだが、会場からの「地下は地震に強いという話は本当か」という質問には、「地下の方が揺れは少ないが、半分程度。阪神大震災では地下鉄の駅も壊れた。大地震が来れば、いくら地下でも安全ではない」と説明した。

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