食べ残し考えて FAO所長ら授業で訴え

 16日の世界食料デーを控え、横浜市戸塚区の市立秋葉小学校で13日、「食べる、を考える授業」が開かれた。国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所長のチャールズ・ボリコさん(53)が5年生40人に飢餓やフードロスについて語った。

 アフリカ・コンゴ出身のボリコさんは流ちょうな日本語で、「世界には十分な食糧があるものの、貧困や内戦などで9人に1人が十分に食べられていない」と飢餓の現状を説明。一方で「食べ物の3分の1が捨てられている。多くのエネルギーが無駄になり問題」と訴えた。

 同校が9月中旬に実施した調査によると、全校での給食の食べ残しは4日間で約85キロあった。この日はその量を体感してもらおうと、30キロ2袋、25キロ1袋の計85キロの砂を入れた袋を用意。1袋でも持ち上げるのに大変そうな児童の姿を見て、「ちょっとだけと思っても合わせると大変な量になる。食べられない量を皿に入れないこと」と話した。

 子どもたちは今日からできることを紙に書き込み、発表。「嫌いな食べ物をなくす」「作っている人に感謝し、食べ残しをしない」などと次々に宣言した。

 続いてFAOほか、国際協力に携わる四つの市民団体も参加し、グループに分かれて、児童からの質問に答えた。ボリコさんは「将来、目指していることは何ですか」と尋ねられ、「飢餓をゼロにすること。食べ物が行き渡れば平和になる」と答えていた。

 児童と一緒に給食も味わい、「一に食べ残さない、二に食べ残さない、三も食べ残さない」と話し掛け、笑いを誘っていた。

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