神奈川スポーツ賞に9人1団体

 神奈川のスポーツの発展に功績のあった個人・団体に贈られる「第65回神奈川スポーツ賞」(県、神奈川新聞社主催)が20日、発表された。五輪開催年の今回はリオデジャネイロ五輪のメダリストら9人1団体が選ばれた。

 スポーツ賞は、全国高校総体(インターハイ)男子棒高跳びで日本高校記録を樹立した江島雅紀さん、全日本体操団体選手権の女子団体総合で2連覇を達成した「日本体育大体操競技部女子」など3人1団体に決まった。

 五輪で活躍した選手を対象とするスポーツ賞・オリンピック賞は、体操男子団体総合優勝や種目別跳馬3位に輝いた白井健三さん、柔道男子100キロ級で銅メダルを獲得した羽賀龍之介さんら4人に決定。スポーツ賞・パラリンピック賞は、陸上男子400メートルリレー3位の多川知希さん、車いすラグビーで銅メダルを獲得した山口貴久さんに贈られる。

 贈呈式は神奈川文化賞受賞者とともに、「文化の日」の11月3日に横浜市中区の県民ホールで行われる。

              ◇ リオデジャネイロ五輪・パラリンピックをはじめ、各競技で輝かしい功績を上げて受賞した9人1団体の横顔を紹介。(受賞者・審査委員とも敬称略)◆神奈川スポーツ賞自らの高校記録更新【陸上】江島雅紀(17) 2016年の全国高校総体(インターハイ)陸上男子棒高跳びと第71回国民体育大会陸上少年男子A棒高跳びで、いずれも自身の持つ日本高校記録を更新して優勝。

 高校2年のとき、世界ユース選手権で5メートルを記録して6位入賞を果たし、一躍脚光を浴びた。その後も海外遠征で実力をつけて着実に記録を伸ばし、10月の国体では5メートル46センチの大記録で高校2冠を達成した。全日本団体総合V2【体操】日本体育大学 体操競技部女子 2015年の全日本体操団体選手権大会女子団体総合で、前年に続く2年連続の優勝を果たした。リオデジャネイロ五輪に出場した選手を含んだ常勝チーム。両大会とも予選から1位を保ち、実力は抜きんでていた。

 日体大体操競技部は、男女とも数多くの五輪代表を輩出する歴史と伝統を誇る。現在は健志台キャンパスの「体操競技館」を拠点に練習を重ねている。東京五輪の活躍期待【ライフル射撃】一ノ渡桜(20) 第71回国民体育大会の成年女子エアライフル立射で初優勝を飾った。現在は日本ライフル射撃協会のナショナルチーム指定選手となっており、4年後の東京五輪に向けて活躍が期待される。

 高校時代から数多くの全国大会で優勝し、着実に実力をつけてきた。大学進学後はさらに競技力を高め、全日本クラブ対抗選手権で2年連続優勝するなど常に日本のトップクラスにいる。参加全種目でメダル【スキー】木村嘉秀(18) ポーランドで3月に行われた、知的障害者スキーでは世界最高峰の大会「INAS世界選手権」に出場。大回転、スーパー大回転の2種目で銀メダル、回転で銅メダルと、参加全種目でメダルを獲得した。

 前年の世界選手権でも、回転、スーパー大回転で銀メダルを獲得。今後のさらなる飛躍が期待される、日本知的障害アルペンスキーチームの若きエースである。◆オリンピック賞ゆかで圧巻演技披露【体操】白井健三(20) リオデジャネイロ五輪の男子団体総合メンバーとして3大会ぶりの金メダルを獲得。種目別跳馬では銅メダルに輝いた。団体総合は予選4位からのスタートだったが、最終種目のゆかでは圧巻の演技を披露し、逆転優勝に大きく貢献した。

 中学時代から独自のひねりの演技で注目を集めた。「シライ」と命名されるオリジナル技が次々と生み出されている。最年少のマーメイド【シンクロ】小俣夏乃(20) リオデジャネイロ五輪シンクロナイズドスイミング・チームの最年少メンバーとして銅メダルを獲得した。日々の猛特訓に耐え、大舞台で成果を発揮。3大会ぶりの表彰台に上がった。

 全国JOCジュニアオリンピックカップのソロで2連覇するなど、中学時代から活躍。高校3年時の世界ジュニア選手権では、フリーコンビネーションで優勝している。日本柔道活躍に弾み【柔道】高藤直寿(23) 初出場だったリオデジャネイロ五輪の男子60キロ級で銅メダルに輝いた。準々決勝で一度は敗退したが、気持ちを切り替えて敗者復活戦を勝ち上がった。柔道競技の初陣を飾り、その後の日本選手の活躍に弾みをつけた。

 小学1年から柔道を始め、東海大相模高時代はインターハイの男子60キロ級を2連覇した。抜群のスピードを武器に、早くから将来を嘱望される選手だった。重量級の意地見せる【柔道】羽賀龍之介(25) 初出場だったリオデジャネイロ五輪の男子100キロ級で銅メダルを獲得した。同階級の日本勢では2000年シドニー五輪金の井上康生以来、4大会ぶりのメダル。準々決勝で敗れたが、3位決定戦は一本勝ちした。

 東海大相模高1年のとき、金鷲旗高校大会で史上初の20人抜きを達成。東海大進学後も活躍ぶりは際立っており、15年には三つの国際大会で優勝を飾っている。◆パラリンピック賞3度目の挑戦で悲願【陸上】多川知希(30) リオデジャネイロパラリンピックに陸上男子400メートルリレーの代表選手として出場し、銅メダルを獲得した。北京大会からパラリンピック3度目の挑戦で悲願のメダルを獲得した。

 大学1年のとき、障害者アスリートの競技会に出場。短距離で本格的にパラリンピックを目指すことを決めた。就職後は競技をあきらめかけた時期もあったが、質を重視した練習法で上達した。初の「銅」獲得に貢献【車いすラグビー】山口貴久(34) リオデジャネイロパラリンピックに車いすラグビーの日本代表として出場し、銅メダルを獲得。車いすラグビーでは初めてのメダルとなった。

 19歳のとき、交通事故に遭い、車いす生活に。スポーツには消極的だったが、負けず嫌いの性格から車いす陸上を始めた。やがて限界を感じ、仲間に誘われて車いすラグビーに挑戦。2014年世界選手権の日本代表にも選ばれた。

© 株式会社神奈川新聞社