土地収用申請やり直し問題で職員4人を懲戒処分 秦野市

 秦野市が市道拡幅に伴う土地収用で、土地収用法の規定通りに手続きを行わずに申請を出し、申請をやり直した問題で、市は21日、関係した男性職員4人を減給10分の1(1カ月)の懲戒処分とした、と発表した。今後、やり直しに要した印紙代など約80万円の経費も職員個人に請求するか、検討するという。

 4人はいずれも当時の建設部長(61)=現・下水道施設課再任用職員、道路整備課長(58)=同上下水道局参事兼下水道施設課長、道路整備課課長補佐(58)=同資産税課課長代理、道路整備課主査(42)。

 これまで、担当した道路整備課は取材に対して、「法律上の解釈ミスで申し訳ない」などと陳謝していたが、市職員課は「解釈ミスではなく、法令違反。やるべきことをやっていないのは事実」と指摘。「市民の財産を強制的に買収するのだから、慎重に慎重を期すべきだった。通常よりも重い処分にした」という。

 問題の土地は同市大秦町の市道沿いの約30平方メートルの駐車場。市は2014年9月に、土地を強制的に取得する土地収用を決定。同年12月、市は土地収用法が定める立ち会い、調書への署名押印を地権者に求めていないにもかかわらず、市長名で「所有者が署名押印しない」と、県の収用委員会に裁決申請した。

 地権者の指摘で、市は申請を取り下げて、再申請。1度目の申請時の印紙代や土地鑑定代など約80万円が無駄になっていた。

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