時代の声を活字に オピニオン誌「arc」20号

 神奈川県川崎市高津区の出版社「レイライン」が21日、オピニオン誌「arc(アーク)」の20号が刊行された。2002年の創刊以来、広告を廃して各界の専門家・著名人らのインタビューや寄稿を掲載してきた。同社代表で編集長の東郷禮子さん(71)は「節目を無事に迎えることができた。今後も時代をリードする人の声を伝えたい」と意気込んでいる。

 目玉は、160ページのうち20〜30ページを占める巻頭の編集長インタビュー。これまで作家の城山三郎、写真家の蜷川実花、脳科学者の茂木健一郎、歌手のアグネス・チャンら各氏に取材。テーマは政治経済からアートまでと幅広く、発言のほぼ全てを掲載して思想や人生観を浮き彫りにした。

 19号では「世界の一部“ニッポン”を考える」と題し、思想家の内田樹さんにインタビュー。人文系学部廃止論に潜む考えや、憲法改正の動きと天皇制、旅客船沈没事故からみる韓国の教育の課題などを論じた。「事前に質問は用意しない。だからこそ、会話の流れでいろんな話が出てくる」と東郷さん。このほか、映画や本の批評、海外ルポなども掲載している。

 今月21日に発売の20号では、映画監督の想田和弘さんにインタビュー。「リベラルの逆襲!」をテーマに雨宮処凛さんと浜矩子さんらのエッセーを掲載。定価1200円(税別)。バックナンバーも販売中。問い合わせは同社電話044(788)6814。

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