ホームドア実証実験 京急・三浦海岸駅

 京急電鉄などは24日、久里浜線三浦海岸駅(神奈川県三浦市南下浦町上宮田)で、ドアの数や位置が異なる車両にも対応可能なホームドアの実証実験を始めた。視覚障害者の転落が後を絶たず、死亡事故も発生する中、車両規格の違いを克服し、ホームドアの整備が急務となっている。今後、1年ほど動作の安定性や耐久性を検証。京急は2020年の東京五輪・パラリンピックを見据え、横浜駅や京急川崎駅など1日の利用客が10万人以上の主要駅での設置を検討する。

 京急線は都営地下鉄などと相互乗り入れしているが、他社の車両とはドアの位置が異なるため、ホームドアの導入が進んでいない。塩害などからの耐久性をチェックする狙いもあり、海に近い同駅が実験駅となった。

 同駅下りホームの最後部1両分に、三菱重工交通機器エンジニアリング(広島県三原市)が開発した「どこでもドア」(高さ約1・3メートル、幅約18メートル)を設置。ホームドア側のセンサーがドアの数や位置などを判別し、電車側の扉と連動して開く。開口部(約3・2〜3・6メートル)は3カ所あり、3ドアの車両の場合はホームドアの全ドアが開閉。2ドアの車両時はホームドアは両端のドアだけが開く。車両側の改修は不要で、通常のホームドアに比べ設置コストを低く抑えられるメリットがあるという。

 24日は全日本視覚障害者協議会のメンバーが同駅を訪問。山城完治さん(60)=東京都豊島区=は「いつ線路に落ちるか分からず、ホームを歩くことは綱渡りをしているようなもの。(視覚障害者が)安心して移動できる状況をつくってもらうことが大事」と話していた。

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