逗子ストーカー殺人 遺族が市提訴へ

 逗子市で2012年、女性=当時(33)=が元交際相手の男に刺殺されたストーカー殺人事件で、閲覧制限を掛けていた女性の個人情報を市職員から調査会社に漏らされて精神的苦痛を受けたとして、女性の夫(46)が市に1千万円の損害賠償を求める訴訟を起こすことが分かった。25日にも横浜地裁横須賀支部に提訴する。夫は「信頼していた市役所に裏切られた。二度と同じことが起こらないように、妻に代わって市の責任を問いたい」としている。

 訴えなどによると、12年11月5日、調査会社の男が女性の夫を装って市納税課に電話で照会した際、対応した職員は本人確認をせず、住民基本台帳の閲覧制限も確認しないまま住所を伝えた。こうした個人情報の漏えいは地方公務員法の守秘義務違反であり、女性はプライバシーを侵害され精神的損害を受けた、と主張している。

 女性は翌6日、調査会社の男からの情報を基に自宅を訪ねてきた元交際相手に刺殺された。男は15年1月、女性の住所を不正に聞き出したとして、偽計業務妨害の罪で執行猶予付き有罪判決を受けた。

 市は事件後、個人情報の外部流出を認め、電話での問い合わせには答えないことや窓口での本人確認を徹底することなどを盛り込んだマニュアルを新たに作成。個人情報にアクセスできるパソコンの管理をより厳重にするため、指の静脈による生体認証を導入した。

© 株式会社神奈川新聞社