飛行差し止め諦めない 最高裁前で声明配布、厚木基地騒音

 日米が共同使用する厚木基地(神奈川県大和、綾瀬市)の航空機騒音を巡る第4次訴訟で、訴訟団は24日、最高裁前で、31日の上告審弁論を見据えた声明文を登庁する職員らに配った。米軍機の飛行差し止め請求について一切の上告を退けた最高裁の決定に対し、「我々は決して諦めない」と書面で宣言。住民側が一部勝訴した控訴審判決の維持も求めた。

 原告団と弁護団の計11人が午前8時前、最高裁西門(東京都千代田区)に集まり、騒音被害の実態をまとめた400枚のビラをまいた。6月に始まったこの門前活動は、口頭弁論前のヤマ場を迎え、この日は声明文が添えられた。

 住民側の上告に対する9月の最高裁決定は、米軍機の飛行差し止め請求について、行政、民事訴訟でともに棄却。訴訟団は声明文で、この判断は「住民の悲願をふみにじるもの」と非難。「最高裁が人権救済の使命を放棄した」と抗議した。

 一方、高裁段階で初めて認められた自衛隊機の限定的な飛行差し止めについて、行政訴訟で住民と国側双方の上告の一部が受理された。騒音被害の深刻性や、航空機運航を巡る防衛大臣の裁量が争点となる。

 訴訟団は、将来の損害賠償も初めて認めた東京高裁の控訴審判決(2015年7月)の維持を求め、弁論で「異常な爆音をもたらす軍用機の飛行差し止めを命ずることが最高裁の使命であることを訴える」と宣言した。

 上告審弁論は、1992年の1次訴訟以来。門前活動を続ける弁護団副団長の福田護弁護士は「(自衛隊機の飛行差し止めについて)法解釈上重要な指針や判断を最高裁が示すことになる。弁論に全力を注ぐ」と話した。

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