教科書採択地区を統合 川崎市立小中学校

 県教育委員会は25日、10月臨時会を開き、川崎市立小中学校の教科書採択地区について、現在の4地区から1地区に統合する議案を原案通り可決した。

 川崎市は全国の政令指定都市の中で唯一、採択地区を市内で複数に分けており、2001年から4地区で採択を行っている。だが、今年5月、市教委が全市1地区への変更を県教委に要望することを決めた。

 変更理由は(1)川崎市の教員の教科研究活動が盛んで、その成果が全市で共有されている(2)教科書の調査・研究の精度向上が期待される(3)転校した場合、市内1地区なら教科書が共通(4)共通の教科書ならば既に学んだ事項の差異がなくなり、市の診断テストの作業が軽減され適切な問題を作成できる−としている。

 この日の会議では委員から、「児童・生徒にとって有益だとする理由が薄いのではないか」との質問も出された。県教委事務局は、川崎市からの文書による補足説明を示し「教科書が同一であることは、同じ教材を基にした実践・研究・研修などが可能になり研究の質が高まり、教員の指導力が向上し、児童・生徒の学習意欲や学力向上につながる、と川崎市では説明している」などと回答した。

 この議案を巡っては、反対3件、賛成1件の陳情が出されていたが、いずれも不採択となった。

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