脳神経を長期観察 小型サルで実験成功 実中研

 実験動物中央研究所(実中研、川崎市)は27日、覚醒状態の小型サルの脳の神経細胞活動を長期間観察することに成功したと発表した。同日付の英国の科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)に掲載した。

 人の脳機能の解明や精神・神経疾患の新しい治療法の創出には、ヒトに近い霊長類の脳で研究する必要がある。脳神経細胞の活動は麻酔で影響を受けるため、覚醒状態で観察する技術が必要とされていた。

 成功したのは実中研と理化学研究所の研究グループ。小型のサル「マーモセット」を固定して観察する実験装置を独自に開発し、装置に慣れさせるトレーニング方法も確立した。

 マーモセットの頭蓋骨を除去した後に透明のカバーガラスを装着。光る物質を使い、脳の神経細胞の動きを顕微鏡で観察する。

 実中研は「遺伝子改変技術でつくった精神疾患を持つモデルを長期観察することで、新たな治療法の創出に役立つことが期待される」としている。

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