藤沢市が給付型奨学金 県内初創設へ

 経済的理由で大学進学を諦めざるを得ない子どもたちを支援しようと、藤沢市が返済不要の「給付型奨学金制度」を独自に創設し、来年4月の運用開始に向けて準備を進めていることが24日、分かった。大学在学中の授業料相当額に加え、入学準備金も含めた4年間の総支給額は最大320万円。学業や生活面のサポートも卒業まで続ける手厚い内容だ。給付型奨学金を自治体が導入するのは県内初で、入学準備金も支給するのは全国でも例がないという。

 市教育委員会によると、対象は▽生活保護世帯▽住民税非課税世帯▽児童養護施設−の子どもたち。大学入学に必要な入学準備金30万円のほか、学費月額6万円(いずれも限度額)を4年間支給する。入学後は3カ月に1回、市職員が学生と面談。市の各部局が連携して生活や学業面などで相談に乗り、卒業まで継続的に支援する。

 受給者は複数人を想定しており、選定は成績基準を「5段階評定の平均3・1以上」と幅広く設定。小論文と面接の結果も踏まえ、総合的に判断するという。

 市教委教育総務課は「子どもの貧困が社会問題となっている中、経済的事情から進学を諦めざるを得ない若者は少なくない。市として、学ぶ意欲のある学生たちを応援したい」と説明。受給者については、「少人数でのスタートになる見通しだが、将来的には拡充していきたい」としている。

 市は市議会12月定例会の常任委員会に方針を報告し、来年2月定例会で予算案を提示する意向。議会の承認を得られれば、来年4月にスタートさせるとしている。

 奨学金制度を巡っては、政府・与党が2018年度の本格実施を目指して制度設計を進めている。藤沢市では、2月の市長選で再選した鈴木恒夫市長が給付型の創設を公約に掲げていた。

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