選手ホクホク顔 総年俸最下位チームに変化 ベイスターズ

 【運動部=小林剛】横浜DeNAベイスターズの選手がほくほく顔で年の瀬を迎えている。外国人選手を除く日本人54選手と契約更改を終えたが、球団史上初となる2億円増の3億円でサインした筒香をはじめ、多くの選手が増額で更改した。クライマックスシリーズ初進出の好結果が査定に表れているだけでなく、球団経営の安定化も要因とみられる。○本人も衝撃の3億円 「本当にありえないくらいの額に上げていただき、感謝している」。12月1日の契約更改。筒香は提示された金額に目を丸くした。

 これまで球界に2億円以上の増額は過去7人しかおらず、高卒8年目シーズンでの3億円到達は松井(当時巨人)、松坂(当時西武)らに並ぶ。本塁打、打点のセ・リーグ2冠に輝いた25歳はスーパースターの仲間入りを果たした。

 他も負けていない。桑原は筒香以上のアップ率となる2700万円増の4千万円でサインし、倉本、宮崎も倍増以上の提示額に一発更改。昨年は3人しかいなかった千万円以上の増額プレーヤーは実に13人だ。チームの総年俸は三浦、山口がいなくなったにもかかわらず、16億2720万円と昨年から、およそ2億円も増えた。○財布のひも緩む? 筒香が驚くのも無理はない。今季の最高年俸は引退した三浦の1億2500万円で、球界参入1年目から5年目の今季まで総年俸(選手会調べ)は5年連続の最下位。財布のひもが固いと言われ続けてきた球団の何が変わったのか。

 高田繁ゼネラルマネジャー(GM)は筒香の大幅アップに「1年だけで、あの金額が出るわけではない。3年間続けてしっかり数字を残してきたということ」と、これまでの査定の妥当性を強調する。球団関係者も「若手全体に言えるが、ホップ、ステップ、ジャンプと伸びていく中で、これまではステップで止まっていた」と言い、決して出し渋ってきたわけではないとの見方だ。

 しかしながら、別の球団関係者は「球団と球場(横浜スタジアム)との一体経営ができて黒字化できたことも大きい」と指摘する。今季の主催試合での観客動員数は、日本一に輝いた1998年をも超える過去最多の194万人を記録。球団経営が安定してきたことも背景にはありそう。球団としては、活躍すれば上がるという今回の契約更改を来季以降のモチベーションにつなげてほしいとの考えだ。○縁の下の力にも光 ことしの契約更改は中継ぎ投手への高評価も特徴的だった。高田GMは「これまでは先発、クローザーばかりに日が当たっていた。年間を通して大事なところで仕事をしてくれた」とたたえる。今回の査定から中継ぎ陣の評価を見直し、より年俸に反映する方針に転換したという。

 チーム最多の62試合に登板した須田、61試合の田中がともに2500万円増、セットアッパーで59試合に登板した三上は3千万円増だった。田中が「ゼロが一つ多い。こんなに上がるのかと思いました」と言えば、須田も「最大限の評価。満足です」と相好を崩した。

 成績が上がれば年俸も上がるのは当たり前ではあるが、それでも、一流の証しとも言われる1億円以上は筒香と久保康の2人しかいない。来季の成績次第で、1億円プレーヤー続出となるか。(金額は推定)

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