災害時の悪路も何の 大和市消防に専用自転車

 大和市は、未舗装路用の極太タイヤを備えた自転車「ファットバイク」を市内5カ所の消防施設に配備する。消防車両が通行できない悪路や小道に進入でき、機動性を高める狙いだ。災害用としての導入は、県内で初めて。

 市は4月の熊本地震発生直後、本庁舎が倒壊寸前となった熊本県宇土市に自発的に消防職員らを派遣。被災した道路の寸断で消防車両の通行が遮られ、初動対応が困難になった場面を目の当たりにしてヒントを得た。

 タイヤ幅は、マウンテンバイクの2倍に当たる3・8インチ(約9・6センチ)。重さは20キロほど。市消防本部警防課は「がれきが散乱した悪路でも走行できる」と説明する。五つの消防署と出張所に来年3月、計20台を配備する予定だ。

 市域は起伏が緩やかで、自転車を利用しやすい環境にある。現場までの距離が2キロ圏内に収まるよう、配備先を選んだ。

 2人一組で活用し、持ち運べる消火剤と救急セットを携行する。現場で動画を撮影し、素早い災害復旧にも役立てる。一式の導入費に336万円を確保した。バイクは消防車両と分かるよう赤色で統一する。

 自転車店「PIT TSURUOKA」(東京都日野市)によると、もともと雪道の走行用に開発され、未舗装路の耐久レースで愛用されている。大和市によると、広島県尾道市や愛媛県八幡浜市も採用している。

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