カール電車見納め? 江ノ電に広告

 スナック菓子「カール」の販売終了の発表を受け、鉄道ファンが気をもんでいる。藤沢と鎌倉を結ぶ江ノ島電鉄で四半世紀にわたり、カールのキャラクターをあしらった広告電車が走ってきたからだ。「おなじみの電車も見納め」と、カメラを向ける人も多い。

 “カール電車”は車体に麦わら帽子姿の「カールおじさん」や動物たち、江の島や大仏が描かれ、目立つ存在。5月下旬に販売終了が報じられると、会員制交流サイト(SNS)には「カール号はどうなる?」と心配する声が躍った。

 江ノ電によると、今のところ販売元の明治から広告打ち切りの連絡はなく「今後は決まっていない」。その明治も、取材に「まだ検討段階」と回答。ただ「広告電車は商品を売るためのものなので…」とも話し、遠からず消えゆく可能性をうかがわせた。

 清涼飲料や衣料品などをPRする江ノ電の広告電車は1980年代に本格化。朱色や紫、金色のような派手な車体色には賛否の声もあった。中でカールは断続的に25年以上も続く「常連」で、駅では小学生たちが「カールだ!」と声を上げる場面にも出くわす。

 長年、沿線で江ノ電を見続けるファンの男性会社員(45)は「明治の広告電車は見慣れた風景。他のお菓子に差し替えられるのか、それとも…」と興味津々だ。

 カールには電車だけでなく、駅でも出合える。背もたれに看板を掲げたベンチが江ノ島や極楽寺の駅ホームにあるのだ。明治の話では「さすがにそこまでは…」とのことで、こちらは存続するかもしれない。

 カールはトウモロコシが主原料の菓子で1968年に発売。近年はポテトチップスなどジャガイモ系の菓子に押され低迷し、明治によると、生産・物流コストがかかる中部地方以東での販売を9月にも終える。

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