「福岡発 売り子名鑑」内定蹴って売り子デビュー、3か月で10杯が110杯に

球場の新たなエンターテインメントとなっている「売り子」。美女どころといわれる福岡のヤフオクドームで働くアサヒビール、キリンビールの両メーカーの売り子を不定期連載で紹介している「福岡発 売り子名鑑」の第24回をお届けする。

アサヒビールの「HAZUKI」さん【写真:福谷佑介】

憧れの売り子初日、突きつけられた厳しい現実とは…

 球場の新たなエンターテインメントとなっている「売り子」。美女どころといわれる福岡のヤフオクドームで働くアサヒビール、キリンビールの両メーカーの売り子を不定期連載で紹介している「福岡発 売り子名鑑」の第24回をお届けする。

 今回は、アサヒビールの「HAZUKI」さん、だ。

 売り子界の“オールドルーキー”だ。現在22歳の「HAZUKI」さん。売り子デビューは今季になってからで、まだキャリアは3か月 。大学生や専門学校生など、高校卒業後に売り子を始めることが多い中、22歳で売り子の世界に飛び込んだ彼女は異例の存在だ。

 悩んだ末の挑戦だった。「1年前くらいに売り子をテレビで見るようになって、ヤフオクドームの売り子さんが出ているのを見て、凄いなと憧れたんです。いつかやりたいなと思いながらも、年下の子たちばかりなので、今更かなとも思っていました」。自分より若い女性たちが活躍する世界に、少なからず抵抗はあった。

 専門学校時代に学んだことを生かし、アイリストの仕事に内定も決まっていた。それでも「売り子をやってみたいという気持ちが忘れられず…」。内定先に休日に売り子として働く事を掛け合ってみたものの、「当然、ダメです、と」。案の定、NGだった。「休みの日に単発ででも出来たらいいなと思ったんですけど。でも、やっぱりやりたくて…」。なんと、内定を辞退してまで、売り子になった。

「思っていた以上に厳しい世界でした」という売り子界。初の勤務の日。「最初は3、40杯と聞いていたので、それくらいは、と思っていたんですけど……」。突きつけられたのは「10杯」という現実だった。「もっと売れるものだと思っていました」というイメージが、甘いものだったということを痛感させられた。

熊本、島根、北海道のリゾート地で接客業を経験

「話をすると、先輩たちの凄さが分かりますし、もっと頑張らないといけないと思いました。大事なのは気力、メンタルですね。自分がダメだと思っていたら、その通りに売れません。心が折れるとダメですね」

 学びと反省の日々。仕事を終えると、毎日ノートを開き、その日の反省などを書き記す。「ちょっとずつでも成長出来るように、と思ってやっています」。3か月で、自己ベストは110杯を超えた。

「何事にも中途半端だったので、そういう自分を変えたいというのはありました。学生まではやらされてやっていた感じが強かったですね」。2年前の専門学校卒業後は就職せずに、リゾート地で働いた。「いろいろな人に出会いたい、いろいろなところに行ってみたい、接客の勉強もしたいという思いがあったんです」。熊本の黒川温泉にある旅館で仲居をし、島根の隠岐の島、北海道のルスツリゾートでも働いたという。

 やや異質なキャリアを送ってきた「HAZUKI」さん。「自分から話すのは苦手なので、お客様から話しかけていただけるとたくさん話せます。好きな男性のタイプは年上で、面倒見のいい、私を受け止めてくれる人ですね。理想は父と母のような夫婦です」という。

 22歳の新人売り子。「そんなに売り子は長くはできないと思っていました。やるとしても1、2年かなと思っていましたけど、今はもっと3年、4年と、やるからには長くやってみたいなと思うようになりました」と、とことん突き詰める気概でいる。

「周りは18歳、19歳の子たちばかり。でも、若い子には負けたくないんです。汗を流しながら、笑顔で頑張りますので、どうぞよろしくお願いします」(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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