同僚も脱帽、“唯一無二”の上原浩治のプロ意識「『ちくしょう』って感じさ」

メジャー9年目のシーズンとなる今季、カブスのブルペンを支えている上原浩治投手。49試合に登板し、3勝4敗2セーブ14ホールド。防御率3.98はキャリアで最も悪い数字となっているものの、42歳にして世界トップレベルでの活躍を続けている。

カブス・上原浩治【写真:Getty Images】

42歳でメジャートップレベルを維持、Rソックスの地元紙がカブス上原を特集

 メジャー9年目のシーズンとなる今季、カブスのブルペンを支えている上原浩治投手。49試合に登板し、3勝4敗2セーブ14ホールド。防御率3.98はキャリアで最も悪い数字となっているものの、42歳にして世界トップレベルでの活躍を続けている。

 2013年には、レッドソックスのクローザーとして圧倒的な活躍を見せ、世界一に貢献した右腕。昨年までの本拠地だったボストンでは絶大な人気を誇り、今年4月にフェンウェイ・パークに凱旋したときにはスクリーンで2013年の名シーンとともに本人が映し出され、大歓声を浴びた。そして、レッドソックスの地元紙「プロビデンス・ジャーナル」はこのほど、「コウジ・ウエハラは幸せな野球人生を歩んできた」とのタイトルで記事を掲載。レッドソックスではなく、カブスに在籍しているにもかかわらず、上原について特集を組んだ。

 記事では冒頭に「コウジ・ウエハラの謙虚さを理解するのに通訳は要らない」と言及。大学受験に失敗して浪人生活を送ったことも含めた上原の半生、勤勉なトレーニングの風景などを本人へのインタビューとともに紹介している。その上で「誤解してはいけない。冷ややかで無感情とも読める回答は、実際は愛する競技をプレーし続けるウエハラの活力と努力に関するものなのだ」と称賛。チームメート、ファンから愛される、その人間性に注目している。

 今季がカブスでの1年目となるが、同僚からはすでに尊敬の念を集めているという上原。左腕のモンゴメリーは同紙の取材に対して、「彼は今も、僕らの今や20代のときと同じようにやってるんだ」と42歳の肉体の強靭さに驚きを示した上で、「それはもう『ちくしょう、自分もあの年齢でああできたらな』って感じさ。彼の習慣や労働倫理や食事といった全てが機能していることを示している。42にもなってこうしているなら、正しいことをしてきたってことだ」と脱帽している。

 上原といえば、87、88マイル(約140、142キロ)の直球と切れ味のあるスプリットでメジャーの猛者を斬って取るスタイルで称賛を浴び続けている。特に、140キロそこそこで空振りを量産する直球は“魔球”とも称されるが、同じ投手には、どのように見えているのか。

「高めに投げ込み、スプリット。その組み合わせは他の誰よりも優れている」

 記事では「ウエハラは今も彼をここまで支えたものによってサバイブしている。トリッキーなスプリットに高めへの直球。後者はまるでスピードガンなど意に介していないかのようなものだ」として、再びモンゴメリーの証言を伝えている。

「彼は今もかわらず88マイルの直球で活躍している。僕たちは、『コウジ、今日は90マイル(約145キロ)を出すのか?』って感じだけど、彼はいつも『ノーチャンスだよ』という感じなんだ」

「彼とキャッチボールをしたんだ。彼はとにかく安定している。彼の投球は球界にいる多くの選手とは全然違う。高めに投げ込み、そしてスプリット。その組み合わせに関しては他の誰よりも優れている」

 同じメジャーの投手に「全然違う」と言わしめる投球スタイル。まさに、メジャーでも唯一無二の投手というわけだ。モンゴメリーはさらに、上原の英語力が高いことなども明かしたという。

 現在、原因不明の体調不良で、9月2日を最後に登板間隔が空いている上原。ブログでは、膝などが腫れ、病院で検査を受けたことも明かしていたが、すでに2度目の投球練習を行ったと11日に報告。「前回と同じように、30球ほど…。バッターも立ってもらい、カウントもつけて。もう腫れも、痛みも引いてきたし、早く試合に復帰したいけど、チームのメニューにそってやらないといけないみたいです(^_^;)」としている。

 カブスは8~10日のブルワーズとの首位攻防戦で3連敗を喫した。地区優勝、そして2年連続の世界一に向け、豊富な経験を誇る上原がここからカブスにとって重要な存在となることは間違いない。そして、上原本人にとっては、来季以降に向けて重要な期間となる。

 同紙の取材で、上原は引退の時期について「おそらく、オフシーズンにどの球団からもオファーがない時でしょうね」「オフの度に、これで最後になるかもしれない、と感じています。だからこそ、常に野球に対しての愛情を持って自分はプレーをしています」と話している。残りシーズンでの獅子奮迅の活躍に期待したいところだ。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2