「朝鮮人排除」は差別 朝大生ら抗議無償化訴訟国勝訴判決

【時代の正体取材班=石橋 学】朝鮮学校を高校無償化制度から除外した国の判断を「適法」とした東京地裁判決について、朝鮮大学校の学生ら約150人が15日、文部科学省前で抗議の声を上げた。「朝鮮人というだけで排除する民族差別。法で裁かれないなら共生の未来は来ない」「過ちを正すよう求める」などと、続く不条理を訴えた。  制度適用を求めて2013年5月から毎週続く「金曜行動」。マイクを手に女子学生(20)は判決翌日の新聞記事に「怖くなった」。文科省幹部の「国連安全保障理事会が経済制裁を決議しているのに、日本政府が朝鮮学校に就学支援金を出すわけにはいかない。『教育の機会均等』とは別次元の話だ」とのコメントは、朝鮮学校の排除が北朝鮮への制裁という政治的、外交的理由によるものだと認めるものだからだ。

 裁判で原告側は政治的、外交的理由を持ち出すのは、すべての子どもの学ぶ権利を保障する無償化法の趣旨に反して違法と主張。判決はそれを否定した国の主張を追認し、請求を棄却していた。文科省幹部から臆面もなく語られた欺瞞(ぎまん)に女子学生は「権力とはこれほど残酷で不条理で、まともに物事を考えられなくなるのかと思うと、恐ろしくて息が苦しくなる」と声を震わせた。

 138回目を数えたこの日の金曜行動には保護者や在日同胞、日本人支援者のほか、来日中の韓国人グループも集まった。「同じ人間として良心を信じる」「民族差別が根絶されるその日まで闘う」と声を上げ、思いを新たにしていた。

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