巨人坂本勇、復調への鍵は? 8月以降は反対方向への安打割合が急落

巨人の坂本勇人は9月24日のヤクルト戦に「3番・遊撃」で先発した。四球を2つ選び、犠飛も打ったが、この日も安打はなし。坂本の打率は8月1日には.337あった。DeNAの宮崎と激しく首位打者争いをしていたが、そこから打率は急落し、24日の試合終了時点では.291となっている。

巨人・坂本勇人【写真:Getty Images】

昨季の首位打者は開幕から好調も…8月は打率2割台、9月は1割台に急落

 巨人の坂本勇人は9月24日のヤクルト戦に「3番・遊撃」で先発した。四球を2つ選び、犠飛も打ったが、この日も安打はなし。坂本の打率は8月1日には.337あった。DeNAの宮崎と激しく首位打者争いをしていたが、そこから打率は急落し、24日の試合終了時点では.291となっている。

 坂本勇人の今季の月間成績を見てみよう。

3・4月 97打数32安打1本塁打11打点、打率.330
5月 85打数26安打5本塁打12打点、打率.306
6月 78打数27安打2本塁打13打点、打率.346
7月 88打数31安打3本塁打12打点、打率.352
8月 95打数21安打3本塁打9打点、打率.221
9月 73打数13安打0本塁打2打点、打率.178

 昨年、首位打者になった坂本勇は、今年も開幕から打撃好調。4か月連続で月間打率は3割をクリアした。7月10日にはNPB123人目の1500本安打を記録。28歳6か月での到達は1964年に達成した東京・榎本喜八の27歳9か月に次ぐ2番目の年少記録。右打者では最年少だった。

 2000本安打、さらには2500安打の達成も期待されるほどの活躍だった。

 しかしながら8月に入るとその打棒に急ブレーキがかかる。8月9日から5試合連続無安打、8月の月間打率は.221と急落、9月に入ると19試合のうち9試合で無安打。マルチヒットは3試合だけ。月間打率は1割台にまで落ちた。

 試合数が少ない10月を除けば、坂本の月間打率が1割台になったのはレギュラーになって1年目の2008年5月以来。まさに異常事態だと言えよう。

原因不明も数字にはっきりと見える傾向

 坂本の急落について、メディアは様々に報じている。打撃フォームがおかしくなっている、ステップが広くなったと指摘する解説者もいる。原因は特定できないが、数字的にははっきりした傾向が一つ見えている。

 月別の安打数に占める右翼方向への安打数の比率(内野安打は別にカウント)。

3.4月 34.4%(32安打中12安打)
5月 42.3%(26安打中11安打)
6月 25.9%(27安打中7安打)
7月 32.2%(31安打中10安打)
8月 23.8%(21安打中5安打)
9月 23.1%(13安打中3安打)

 昔から安打製造機と言われた選手は、スプレーヒッターと言われた。スプレーを噴霧するようにフィールドの各方向にまんべんなく安打を打つものだった。

 坂本勇人は164本塁打を記録しているようにスタンドインする力をもっているが、同時に流し打ちも非常に得意だ。今年も7月までは、6月を除き、3割以上の安打を逆方向に打っていた。まさにスプレーヒッターだったのだ。

 それが8月以降急落した。端的に言えば右翼方向への流し打ちの安打が減った分、打率が下がったともいえる。成績急落によって焦りの気持ちが生じ、引っ張りにかかっているのかもしれない。打撃フォームの問題かもしれない。反対方向に打つことを意識することで活路が開ける可能性はあろう。

 今後、坂本の打球がどこに飛ぶか、注目したい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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