九州商船 全便ストライキに突入 長崎ー五島列島 年末年始へ混乱必至 旅客船巡るストは全国でも異例

 九州商船(長崎市、美根晴幸社長)の船員112人が加盟する全日本海員組合長崎支部(松本順一支部長)は25日、長崎、佐世保と五島列島を結ぶ全便・無期限のストライキに突入した。旅客船を巡るストは全国的に珍しい。年末年始の繁忙期に及べば、帰省客や物流に影響し混乱は必至だ。

 長崎県によると、五島列島発着便の輸送人員で九商のシェアは約6割に上る。このうち長崎―福江は独占状態だ。全便止まれば一日約2千人の足に影響し、物流も滞る。五島産業汽船(新上五島町)はストの間、長崎―福江3往復6便などを臨時運航するが、どこまでカバーできるか見通せない。

 組合は、九商がジェットフォイル整備員の採用形態を船員から陸上従業員に変えた「陸上化」に反発。撤回しない限りストに入る方針を示していた。一方、九商の美根社長は、陸上化は経費削減や船員不足への対応に必要として「撤回する考えはない」としていた。

 24日は、野口市太郎五島市長と江上悦生新上五島町長が九商と組合をそれぞれ訪ね、スト回避を要請していた。これを受け九商の担当役員が組合を訪れ交渉を求めたものの、最後まで折り合いは付かなかった。

ストで運休となった午前7時40分長崎発福江行きのジェットフォイル=長崎市、大波止ターミナル

© 株式会社長崎新聞社