米紙が特集、松坂とともに世界一にも輝いた強打の三塁手の華麗なる転身
強打の三塁手としてボストン・レッドソックス時代に2度世界一を経験。引退間際には楽天でもプレーしたケビン・ユーキリス。現在は現役時代からの夢だったビール店の経営に乗り出し、意外な成功を収めているという。米地元紙「サンフランシスコ・クロニクル」が「元野球選手のケビン・ユーキリスがビールで新たなヒット」と題し、紹介している。
“四球のギリシャ神”は今、“ホップのギリシャ神”になった――。同紙では、華麗なる転身に迫っている。現役時代のユーキリスは優れた選球眼で四球を選び、高い出塁率を誇った。記事中ではOBP(出塁率)とIPA(インディア・ペールエール。ビールの銘柄)をかけて、「OBPと同じくらいIPAで有名になりたいと考えている」と紹介している。
レッドソックス時代の07年、松坂らとともにワールドシリーズ制覇に貢献したユーキリス。14年に楽天でプレーした際には、左かかとの故障などもあって、わずか21試合の出場に終わった。同年のオフに引退を表明した後、元アスレチックスの内野手であるニック・プントらパートナーとともに、醸造所を買収、改装して再開したという。
経営は順調、ビールの品評会で受賞も
現役時代からプレーしていた球場で売られていたビールよりも、美味しくクリエイティブなビールを造り販売することが夢だったというユーキリス。経営は順調だ。店のオープンから1年後の昨年、カリフォルニアのビールの品評会で賞を受賞したことも、記事では紹介している。そして、ユーキリスにはこだわりがあったという。自らが“野球選手だった”ということに頼らないことだ。
「僕は殿堂入り選手じゃない。自分の名前はそこまで広まっているわけではないんだ」と証言している元強打者。事実、店の壁には自身の写真などは飾られていないそうだ。ユーキリスの名前を前面に出せば、すぐに有名になったのかもしれないが、純粋にビールの味、クオリティーで勝負したかったという。
それでも、取材に対しては「未だに嫌なことが書かれたはがきが来るんだ。より懸命に働き前進するためにそれを使ったよ」とも明かしている。エネルギーに変えて、店を軌道に乗せた。
引退したあと、次の目標を見失ってしまう選手は少なくない。だがユーキリスは第2の夢のために努力し、成功をつかもうとしている。
(「パ・リーグ インサイト」大森雄貴)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)