“スーパーバイザー”筒香が少年野球改革 体験会で未経験児に”楽しさ”伝える

「チーム・アグレシーボ」の体験会を開催したDeNA・筒香嘉智【写真:荒川祐史】

未来につなげる野球の“リレー”「いっぱい失敗してどんどん挑戦してほしい」

 DeNA筒香嘉智外野手が14日、大阪府堺市で自身がスーパーバイザーを務めるボーイズリーグ・堺ビッグボーイズの小学部「チーム・アグレシーボ」の体験会を開催した。4~6歳の未就学児38人、小学1~3年生35人の野球未経験の子供たちが参加し、野球の楽しさに触れた。

 昨季は“ハマ”の主砲として19年ぶり日本シリーズ出場、そして侍ジャパンの主砲として第4回WBCの4強入りに貢献した筒香は、日々自らの成長に努めると同時に、野球界の発展に一役買えないか思いを巡らせている。そこで、子供たちに少しでも野球の面白さを伝えられないかと考え、昨年、現役選手でありながら自身が中学時代を過ごしたチーム、堺ビッグボーイズで小学生の部「チーム・アグレシーボ」を立ち上げ、スーパーバイザーに就任。オフ中は自主トレの合間に練習に参加するなど、関係者と共に活動を行っている。

 筒香が活動を始めた理由は、「野球の楽しさを子供たちに伝えたい」「子供たちの将来を考えた野球界にしたい」と至ってシンプルだ。最近の野球界では、子供たちの野球離れが大きな課題となっているが、少子化やスポーツの多様化だけが原因とは考えにくいと思ったという。「たとえ成人して野球選手にならなくても、野球の楽しさを知り、野球を通じて創造力、想像力を持つ人間に育ってほしい」と考えた筒香は、特に幼い頃は目先の試合の勝敗にこだわるのではなく、失敗を繰り返しながら成長していく環境が必要だと考え、関係者に相談して「チーム・アグレシーボ」を立ち上げた。

 このチームでは、野球に関して子供たちを叱ることはしない。常に前向きにプレーできるように、失敗してもそこから成長できるようなポジティブな声掛けを実践している。この取り組みは、筒香自身がトレーニングで訪れたアメリカ合衆国や、ウインターリーグに出場したドミニカ共和国などで得た経験が基になった。また、練習では、野球に限らずサッカーや体操など他のスポーツにも取り組み、思考はもちろん体の動きにも柔軟性をもたらせるよう工夫がされている。

 この日も、野球未経験の子供たちが普段は使ったことがない野球のボールに触れながら、大きな笑い声をあげ、笑顔を絶やさずに体験会を楽しんだ。筒香は「いっぱい失敗してどんどん挑戦してほしい」と大きな心で子供たちを見守った。これからも「子供たちの将来を考えた野球界にするために、勇気を持って発信していきたい」と積極的に働きかけをしていく。現役選手として成長を続けることはもちろん、自分なりの形で野球の楽しさを子供たちに伝えつつ、日本に続く“野球”のリレーを未来に続ける。

(Full-Count編集部)

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