【MLB】カ軍が元Gマイコラスに望む「ポジティブな歩み」 日本時代と同じ“進化”期待

カージナルスで先発投手として期待されるマイコラス【写真:Getty Images】

4年ぶりにメジャー復帰「カージナルスは自信を持っている」

 巨人からカージナルスに移籍し、4年ぶりのメジャー復帰を果たすマイルズ・マイコラス投手への期待が高まっている。メジャーでの実績が乏しかった右腕だが、NPBでの3年間で好成績を残し、2年総額1550万ドル(約17億1500万円)でカージナルスと契約。名門球団が「堅実な選択肢」と目していると地元メディアは伝えている。

 特集を組んだのは、地元紙「セントルイス・ポスト・ディパッチ」。マイコラスの母が子供の頃からカージナルスファンで、セントルイスで愛息を生んだこと、開幕前には野球の話題で盛り上がっていたことなどを紹介。その後、マイコラス家はカージナルスのキャンプ地でもあるフロリダ州ジュピターに引っ越したが、右腕自身が「彼女はよく自分を学校から連れて帰り、『スプリングトレーニングのチケットが手に入ったよ』と言ったものだよ」と話していたことにも触れている。カージナルス入団は運命だったようだ。

 メジャーではパドレス、レンジャーズで37試合登板(10先発)、4勝6敗、防御率5.32という実績しか残せず、日本行きを決断したマイコラス。すると、巨人では3年間でNPB通算62試合に登板し、31勝13敗、防御率2.18と圧巻の成績を残した。記事では「マイコラスが日本のセ・リーグの読売ジャイアンツに在籍した3年間で披露したようなポジティブな歩みを構築するだろうと、カージナルスは自信を持っている」と、球団の見解を伝えている。

 さらに、マイコラス本人も日本での“進化“について説明。「来日前は、多分ほとんど直球とカーブしか投げない投手だったよ。スライダーを少し混ぜたりもしたけどね」とした上で「日本でのプレーを経験した後は、少しだけ完成された投手に近づいたと感じるんだ。直球やカーブ、スライダーでカウントを稼いで、チェンジアップを混ぜたり、緩急もうまく使いこなせるようになったことや、カウントを調整するのが少しうまくなったことだったり。そういう点かな」と、巨人で投球の幅を広げたことに手応えを示している。

マイコラスが明かす決意「5~9回まで投げぬいてやるつもり」「常にチームを支える」

 また、日本でのWHIP(1イニングあたりの四球+安打)が0.994という優秀な数字だったこと、1つの四球を与えるまでに奪う三振の数が、メジャー時代の1.82から、日本では5.48まで良くなったことに言及。打者の違いもあるとはいえ、投球術が向上したことは確かで、同紙は「カージナルスは、マイコラスが以前メジャーで初めてプレーした時よりも、現在遥かに優れた投手になっていることを期待している」とも記している。

 好条件での米復帰となったものの、メジャーの先発投手としては、決して年俸は高くない。記事でも、成功を収めれば、FA市場でトップ評価を受けるダルビッシュやアリエッタよりも「お買い得」だと分析。さらに、マイコラス自身も並々ならぬ決意を明かしている。

「日本で学んだ事の一つであり、この先ここで伝えていこうとしているのは、自分は勝負することが大好きなんだ。(先発して)5~9回まで投げぬいてやるつもりだよ」

「どのくらい長いイニングを投げようが、アウトを取り続けていたいし、勝つためなら何でもするよ。それがピッチングであろうが、打席でバントすることであろうが、マウンド付近での守備であろうが、ベンチから応援することであろうがね。常にチームを支えていくよ」

 日本でも負けず嫌いの性格を前面に押し出し、チームを勝利に導いた。ヤンキースの27度に次ぐ、11度のワールドシリーズ制覇を誇る名門球団でも輝きを放つことはできるか。その投球には日本からも熱視線が送られることになる。

(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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