【MLB】エンゼルス、大谷取材へ異例のメディア説明会開催 “臨時ルール”も…

エンゼルスが大谷取材へ異例のメディア説明会開催【写真:西山和明】

大挙するメディアを予測し、右中間スタンド外に特設テント設営

 エンゼルスの大谷翔平投手が13日(日本時間14日)、米アリゾナ州テンピの球団キャンプ施設で打撃練習やキャッチボールで体を動かした。キャンプイン前日の集合日にあたるこの日は、午後1時前にキャンプ施設に到着。フィジカルチェックを受けた他、クラブハウスでは三々五々に集まったチームメイトらと対面した。

 水原通訳とのキャッチボールを終えた大谷が、クラブハウスの中へ姿を消すと、集まった日本人報道陣にエンゼルス広報部から「これからメディア説明会を行います」と声が掛かった。この日、集まった日本人メディアは記者、カメラマン、テレビクルーを合わせると約50人。米報道陣は10人を超えた。キャンプインを迎えれば米メディアもさらに増えることが予想される。記者席の混雑が予想されるため、右中間スタンド外に「取材陣用特設テント」を設営。ここに集合した報道陣に対し、ティム・ミード広報部長から協力依頼を兼ねた“異例”のメディア説明会が行われた。

 記者会見は日米メディア同時に行われること、練習スケジュールは前日または当日朝に発表されること、球場コンコースにある「アイランド・ヌードル」という出店ではメディア割引きで昼食が楽しめること、クラブハウスではできるだけ大谷が他の選手と交流を持つ時間を与えてあげてほしいこと、など、予想される“大谷狂想曲”ができるだけ小規模で収まるように決めた“臨時ルール”への協力を求めた。

 その後、キャンプ施設内を移動しながら、どの動線をたどるべきか、あるいはメディア立ち入り禁止の区域などを、1つ1つ丁寧に紹介。取材をするメディアの立場から見れば、取材環境を大幅に制限される形にはなるが、一方的に押しつけるのではなく質問や意見を受け付けながら、説明を続けた。キャンプイン後も不都合や不具合が起きた場合には、ルールは随時検討、改正する方針だという。

チームが優先する大谷の気持ち、そして球団の気持ち

 説明会の最中にミード広報部長が繰り返したのは、「他の選手の邪魔をしたくない」という大谷の気持ち、そして「1日でも早くチームに溶け込む環境作りをしてあげたい」という球団の気持ちだった。もちろん、メディアは取材をし、伝えることが仕事だが、大谷を含む全選手がプレーする環境を妨害しては元も子もない。当然、そこにいたメディアの中で協力要請に異を唱える人物は現れなかった。

 初めてメジャーキャンプに参加するだけでも心身ともに負担はかかるが、“二刀流”に挑戦する大谷の場合、その負担はさらに増大するだろう。少しでも野球に専念できる環境を作ってあげたい。そんなエンゼルスの全面サポートを惜しまない姿勢が、異例のメディア説明会につながったようだ。

 二刀流の実現を期待するのは、メディアも例外ではない。球団、チームメイト、ファン、メディアとあらゆる方向からのサポートを受けながら、大谷のメジャー二刀流挑戦がいよいよスタートする。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

© 株式会社Creative2