【MLB】カブス加入に大喜び、名将マドン監督が見るダルビッシュ「彼は毛色の違う漢」

カブス入団会見に臨んだダルビッシュ有【写真:西山和明】

ダルビッシュから見たカブス・マドン監督は「人生を楽しんでいる方」

 バッテリー陣がキャンプインする前日、13日(日本時間14日)にカブスと正式契約を結んだダルビッシュ有投手。昨季後半に所属したドジャース復帰を望んでいるのでは、とも言われたが、蓋を開けてみれば日本人右腕が選んだのは「最初から最後まで誠意をもって交渉してくれた」カブスだった。

 現地報道によると、今回結んだ6年契約は出来高も含めれば、最大1億5000万ドル(約163億3000万円)に達する大型契約。今年で32歳を迎える先発投手に対する最大級の評価とも言える契約に、サインをしたばかりのダルビッシュは記者会見で「さっきちょっとプレッシャーを感じた(笑)」と話したが、即座に「でも(プレッシャーは)誰でも感じることだろうから、それをしっかり力に変えるようにしたいです」と力強く言葉をつないだ。

 12月にはカブスのエプスタイン編成本部長、ホイヤーGMら首脳陣が、ダルビッシュの自宅があるテキサス州ダラス近郊に出向き、直接会談に臨んだ。通訳を介さずに行ったざっくばらんなミーティングで、日本人右腕の生い立ちやモチベーションとなるもの、野球やプライベートではそれぞれ何を目指しているのか、などを知ったエプスタイン編成本部長は「いろいろ考えていて、常に成長し続けたい思いが伝わってきた。野球に関してもかなり深い話ができた」と振り返る。

 日本人右腕自身、「全部がすごく印象に残ることだった」と話しているが、エプスタイン編成本部長の「あのミーティングがなかったら、契約には至らなかったかもしれない」というほど大きなポイントとなった。

マドン監督は独特の表現で賛辞「彼は毛色の違う漢」

 チーム選びの際に最優先とした「世界一を狙えるチーム」という条件を「十分過ぎるほど満たしているチームだった」と話す。その他にも心をくすぐられた要因の1つが、知将として知られるジョー・マドン監督の存在だ。ダルビッシュは「野球をすごく楽しんでいる。人生を楽しんでいる方だなっていうイメージがある。そういう方と一緒に野球ができるのは楽しみです」と目を輝かせた。

 ダルビッシュの会見が終わった直後、エプスタイン編成本部長とホイヤーGMと共に会見に登場した指揮官は、「大胆不敵」という白抜きの漢字が躍る真っ赤なTシャツを着て登場。右腕について「彼は毛色の違う漢(おとこ)だ。あんなに背が高かったり、あんな投球フォームを持っていたり、あんな配球をする男はあまりいない。その要素を全部組み合わせた人物なんて滅多にいない」と独特の表現で賛辞を送った。

 さらに「この男がノっている時は、大体いつもノっているんだけど、奪三振投手になる。球種は多いし、ほとんど歩かせないし、長いイニングだって投げられる。我々に数多くの利点をもたらしてくれる。味方になってワンダフルだ。彼を相手にゲームプランを立てる時は、最初の2回くらいまで見ると突如『なんてことだ、長い1日なるよ』と思わされる。でも、今や味方だ」と大喜びしてみせた。

 新天地では今までにない新しい刺激を受けながら、成長することを目指すダルビッシュ。アイディアマンで「マンネリ」という言葉と対極で生きるマドン監督の下で、どんな投手、どんな人間に成長していくのだろうか。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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