【MLB】「ジーターといざこざになるなんて…」オブジェ撤去には芸術家の許可必要?

マーリンズのオーナーを務めるデレク・ジーター氏【写真:Getty Images】

マーリンズは本拠地名物の巨大オブジェ撤去を計画も…

 新オーナーに就任したデレク・ジーター氏のもとで、チーム再建を進めるマーリンズ。主力選手の大量放出、功労者や球団スタッフの解雇などが波紋を広げているが、地元で関心事の1つとなっているのが、本拠地マーリンズ・パークの巨大名物オブジェの行方だ。撤去の可能性が伝えられ、一部地元ファンの反対運動も起きる中、このオブジェを運び出すためには芸術家の許可が必要であるという新たな事実を地元メディアが報じている。

 昨年9月に投資家のブルース・シャーマン氏とともにマーリンズを買収し、共同オーナーに就任したジーター氏。最高経営責任者(CEO)として改革を進めているが、スタントン、ゴードン、オズナ、イエリッチと次々と人気主力選手を放出したことが反発を呼んでおり、その他の“改革“にまで注目が集まっている。

 マーリンズは「ビリー・ザ・マーリン」と呼ばれるカジキマグロの球団マスコットの“中の人”、ジョン・デチッコさんを解任。さらに、試合中に行われている海の生き物のマスコットレース「グレート・シー・レース」も廃止する方針だという。そして、本拠地マーリンズ・パークのセンター後方にある巨大名物オブジェ「ホームラン・フィーチャー」を撤去する可能性も伝えられていたが、これに対してはインターネット上で反対する人を集める署名活動がスタート。ジーター氏本人は、その方針については明言を避けている。

 ただ、マーリンズにとっては一筋縄ではいかない問題のようだ。地元紙「マイアミ・ヘラルド」は「一人のニューヨーカーは、どのようにデレク・ジーターにホームラン・スカルプチャーをマーリンズパークに留めるように強いることができるのか」とのタイトルで記事を掲載。250万ドル(約2億7000万円)の巨大オブジェを撤去するためには、芸術家のレッド・グルームスの承認がまず必要になるとマイアミ・デイド郡の職員が明かしたことを伝えている。

グルームス氏が撤去を否認すれば「事実上何の価値も持たないものに…」

 記事によると、肝心の本人の意思は「ノー」。前オーナーのジェフリー・ローリア氏の友人で、勧められて「ホームランを祝うこと、そして、ただ単に楽しむこと」という目的で「ホームラン・フィーチャー」を創ったというグルームス氏は「私が望むことは、そこに残しておくことなんだ」と発言したというのだ。

 マイアミ・デイド郡の市長は、1月にジーター氏と初めてマーリンズ・パークで会った際に、マーリンズがオブジェを撤去したがっていると確かに認識したという。もっとも、同紙は「しかし、ここで問題が浮上する。マイアミ・デイド郡が最初にグルームスと結んだ協約において、そのスカルプチャーを撤去することに関してある程度の補償がグルームスに与えられている、と郡の文化庁の責任者であるマイケル・スプリングは言ったのだ」と“スクープ”。さらに、「この取り決めにおいて、もし撤去された場合にグルームスは(スカルプチャーの製作に関わっていることを)否認することができる」とも言及している。

 スプリング氏は、「彼が否認することで、郡の持ち物であるこのスカルプチャーが事実上何の価値も持たないものになってしまうのです」と指摘。一方で、撤去した後に運び込むことになる候補地も挙げながら「レッド・グルームスはアメリカのアーティストにおいて重要な存在なんです。そして、これは彼のキャリアでの重要な作品の一つなのです。彼は自身の作品に関してプロフェッショナルな懸念を持っています」と、グルームス氏への配慮も見せたという。

 思い切ったチーム再建に批判はつきものとはいえ、スーパースターだったヤンキース時代から、オーナー就任後に“イメージダウン”したとも米メディアに指摘されているジーター氏。グルームス氏も「ジーターは偉大なニューヨーカーの一人なんだ。まさか彼といざこざになるなんて全く思わなかったよ」としつつ、「自分はマーリンズファンなんだ。(ニューヨーク在住ながら)彼らにスイッチしたんだ」と話している。

 混沌としてきた「オブジェ」問題。果たしてどんな決着を迎えるのだろうか。

(Full-Count編集部)

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