【MLB】ダルビッシュ獲得でカブスは「モンスターシーズン」に 世界一「再来」の声も

カブスでの活躍に期待が集まるダルビッシュ有【写真:Getty Images】

FA市場NO1評価の右腕を獲得「理論上は球団史上最高のローテーション」

 ダルビッシュ有投手を獲得したカブスが、世界一に輝いた2016年の「再来」という高い評価を受けている。昨年はナ・リーグ優勝決定シリーズでドジャースの前に敗退。2年連続の世界一はならなかったが、野手のメンバーは2年前からほとんど変わっておらず、ダルビッシュ獲得で先発ローテーションを強化したことが評価再上昇につながっている。

 カブスの特集を掲載したのはESPN。「2016年を覚えている? このカブスは勝るとも劣らないかもしれない」とのタイトルで取り上げている。記事では、まずは攻撃陣の課題を指摘。「カブスの状況に応じたバッティングは酷いものだった」とした上で「この欠点に対応するため、ベテランコーチのチリ・デービスを呼んだ。この分野で改善があれば、モンスターシーズンとなる可能性がある」「この集団は最盛期に入ろうとしている」と分析している。

 ただ、最大の“上積み”は「投手陣を徹底的に整備した」ことだという。「楽観的でいられる最も大きな理由は攻撃陣ではないかもしれない」とした上で「ダルビッシュ獲得が2016年の再来を思わせる」と言及。FA市場でNO1評価を受けていた日本人右腕こそが“最後のピース”になったという。

 カブスのローテーションはジョン・レスター、カイル・ヘンドリックス、ホセ・キンタナ、タイラー・チャッドウッド、そしてダルビッシュの5人が形成することになる。記事の中で、カブスのトム・リケッツ・オーナーは「理論上は球団史上最高のローテーションだ」と“自画自賛”。そして、「素晴らしいチームだよ」と付け加えたという。

インディアンス指揮官も称賛「是非とも再びワールドシリーズで対戦を」

 ブルペンに課題があるとも言われているが、昨季ドジャースでワールドシリーズ進出に貢献したブランドン・モローの獲得は大きなプラス材料。メジャー屈指の野手陣、充実の投手陣、そして名将ジョー・マドン監督の存在。確かに「モンスターシーズン」になる可能性は十分にある。

 2016年にワールドシリーズで対戦し、3勝4敗で敗れたインディアンスのテリー・フランコーナ監督は取材に対して「他球団について話すのは好きではない」と前置きしながら「しかし、彼ら(カブス首脳陣)は常に必要としているものを得る。良い5人ローテーションだ。是非とも再びワールドシリーズで彼らと対戦したい」と話している。他球団からも、その戦力は脅威と見られているようだ。

 2016年は103勝58敗の勝率.640という圧倒的な強さでナ・リーグ中地区を制した。これを超えられるかについて、記事では「ローテーションと改革が行われたブルペンで大部分が決まるだろう」と指摘。「ドジャースからモローとダルビッシュを引っ張ってこられたのはラッキーだ。カブスは同球団とナ・リーグ優勝決定シリーズで過去2シーズン対戦している」と“ライバル”からFAとなっていた2投手の獲得が、リーグ制覇、そして世界一への大きなポイントになると分析している。ドジャースのデイブ・ロバーツ監督も「ユウとモローが成功のカギだった。彼らの活躍を願っている。良いバトルになるだろうね」と話したという。

 2016年シーズンの“再現”はなるか。補強の目玉であるダルビッシュにかかる期待は大きい。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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