「桜井誠氏は存在がヘイト」真実 在特会前会長、控訴審も敗訴

【時代の正体取材班=石橋 学】有田芳生参院議員のツイッターでの発言で名誉を傷つけられたとして「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠(本名・高田誠)前会長が500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は7日、請求を棄却した一審東京地裁判決を支持、桜井氏の控訴を棄却した。  判決によると、有田氏は2016年4月、ヘイトデモを企画した桜井氏について「存在がヘイトスピーチ=差別扇動そのもの」「差別に寄生して生活を営んでいる」などと投稿した。

 杉原則彦裁判長は、投稿は「桜井氏はヘイトスピーチの中心的、象徴的存在で、差別的扇動による収入に依拠して生活している」との事実を示し、ヘイトスピーチは許されないという批判を表明したものと認定した。さらに「桜井氏は収入の大部分が著作物の印税によると自認している」と指摘した上で「著作物は言論活動の中核を占め、ヘイトスピーチや差別的扇動と無関係とはいえない」と判断。投稿内容は真実かつ意見、評論の域を超えるものではなく、違法ではないと結論付けた。

 昨年9月の一審判決は、投稿は「ヘイトスピーチを防止、反対する趣旨のもの」と公益性を認め、桜井氏や在特会の言動はヘイトスピーチ解消法2条の定義に照らして「不当な差別的言動に該当する」と認定していた。

 桜井氏は在特会を脱会した後、16年8月に極右政治団体「日本第一党」を結成し、党首を名乗る。全国の極右団体や人種差別主義者らを束ねる「行動保守」の代表も務める。

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